第16話そろそろイベントが迫っている
「不純異性交遊は良くないと思うわ…」
昼休みに二人で勉強をして過ごしていると姫野に絡まれる。
「不純異性交遊?何のこと?」
さらりは本心から困ったような表情を浮かべると姫野に問いかける。
「だから…そういう事するのは…学生には早いと思うのよ…」
「そうかもね。でもお互いに合意の上だし。誰にも迷惑かけてないし」
「でも…学生なんだから…」
姫野の言葉を最後まで聞かずにさらりは割って入る。
「姫野さんの隠してる気持ちに気付いてるよ?」
その言葉を耳にした姫野は急に顔を赤らめて顔を背ける。
「何のことかな…」
「いや…わかりやすすぎでしょ…そんな態度取られても困るんだけど…」
「私は何も言ってないわよ…」
「分かったから邪魔だけはしないでくれる?それに今は勉強中なんだけど?」
「え…?あぁ…勉強ね…」
「これを見ても不純異性交遊って言うの?」
さらりの言葉を耳にした姫野は急に泣き出しそうな表情を浮かべるといつものように泣き声を上げながら教室を後にする。
「姫野さんって意外にポンコツなんだね」
「恋は盲目だから」
「恋?」
「何でも無い。さぁ勉強に集中しよ」
さらりの言葉を受けて僕らは昼休みが終わるまで自習をして過ごすのであった。
「二学期はイベントが沢山だね」
現在は放課後の下校時にさらりと何気ない会話をして過ごしている。
「体育祭に文化祭に修学旅行。どれも雪見くんと過ごせるのなら楽しみだな」
「そうだね。僕もさらりちゃんと過ごせるのなら楽しいと思うよ」
「運動得意だったっけ?」
「走るのだけは昔から早かったよ」
「じゃあモテたでしょ?」
「全然。そこそこ足が早くて勉強もできて顔が良いやつがモテてたよ」
「それは…何でも出来る方がモテるものね…」
「高校生でもそれは一緒でしょ?」
「姫野さんみたいな?」
「そうかもね。姫野さんに好意を抱いている人は多いだろうし」
「雪見くんも?」
「なんで僕?全く無いよ。完璧超人みたいなの苦手で…無理してるんじゃないかと心配になるし裏ではとんでもない秘密を抱えていそうで近寄りがたいんだ」
「確かにとんでもない秘密は抱えているかもね」
「何か知ってるの?」
「何も。姫野さんに興味ある?」
「無いよ」
そんな他愛のない会話を繰り広げながら僕らは帰路に就く。
「両親の仕事が一旦落ち着いたんだって。しばらく家にいるみたいで…残念だけど金曜日のお泊まり会はしばらく中止かも…」
「そうなんだ。家族で過ごす時間も楽しんで」
「前にも言ったけどそれほど私に興味ない人たちだし…」
「そうなんだ。この間の食事会はどうだったの?」
「近況報告をして食事しただけだよ」
「そっか。辛いときはいつでも言ってね?」
「もう慣れてるから。何も辛くなんて無いよ。ただ雪見くんと過ごせる時間が削られるのは辛いな…」
「僕もだよ。でもこれからも一緒に居られるでしょ?急ぐ必要ないよ」
「そうだね。ありがとう」
放課後の下校路で僕らは駅前のカフェに入るとそこから日が暮れるまで勉強をして過ごすのであった。
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