第14話バレるところだった

金曜日の放課後。

さらりの家に向かうと彼女の自室で勉強の時間は続く。

本日勉強した内容を復習して時間は過ぎていく。

「夕飯は何が良い?」

「なんだろ。肉系かな」

「じゃあスペアリブとかは?良く行くスーパーで骨付き肉が安売りされてるんだ」

「そうなの?じゃあそれで。でも作れるの?」

「作れるよ。慣れたら難しくないし」

「そうなんだ。じゃあ頼もうかな」

「じゃあ一旦切り上げて買い物行こ」

それに頷くと財布とスマホとエコバックを持って最寄りのスーパーに向かうのであった。


買い物が済むと彼女はすぐにキッチンに向かう。

そのまま調理に取り掛かる彼女の手伝いをしながら時間は過ぎていく。

「煮込み時間に結構時間を割くから。それまで勉強しておこうか」

「わかった」

そこから僕らは再度勉強に取り掛かる。

時間にして2時間ほどだっただろうか。

勉強に集中しているとアラームが鳴り響き彼女は再びキッチンに向かう。

「味を整えたら終わりだからもう少し待ってて」

彼女の言葉に頷くと僕はテーブルの上を片付けてご飯をよそった。

ご飯をよそった茶碗と箸をテーブルの上に運んだところで彼女はスペアリブの入った食器を持ってやってくる。

「美味しく出来てたら良いんだけど」

「じゃあいただきます」

食事が開始されて彼女の作った料理を一口頬張る。

「美味しい!」

「ホント?それなら良かった」

安堵するさらりの表情を受けて僕も表情が緩む。

そこから30分程の食事の時間が続くと片付けを済ませる。

「お風呂。お先にどうぞ」

「さらりちゃんが先じゃなくていいの?」

「お客さんが先でしょ?」

「じゃあ…お先頂きます」

風呂場に向かうと全身を隈無く洗いリビングに向かう。

「お先いただきました」

「うん。リビングで寛いでて」

その言葉を受けてリビングのソファでテレビを眺めていた。

さらりが風呂を上がってきたのは小一時間経過した辺りだった。

「早速…」

それ以降の言葉を受けなくても彼女が何を言いたいのか理解できて僕はソファから立ち上がる。

そのままさらりの手を引いて彼女の部屋に向かう。

僕らは夜の間、お互いを求め合いながら時間を過ごしていくのであった。


夜が明けて朝がくるとさらりは少しだけ慌てて僕を起こした。

「雪見くん!起きて!」

「ん?なに?」

「両親が帰ってくるって!早く準備して!」

その言葉を受けて僕の心拍数は急上昇するとすぐに着替えを済ませて荷物を持った。

「先に家を出てて!後で向かうから!」

「わかった!家にいるから」

彼女の家を出ると僕は素早く帰路に就く。

なんとか彼女の両親にバレること無く帰宅するとさらりを待った。

そこから一時間ほどが経過した辺りで彼女は僕の家にやってくる。

「バレなかった?」

彼女に問いかけるとさらりは頷く。

「そもそも私にそんなに興味ない人たちだし」

「そうなの…?」

「まぁね。でも流石に彼氏を家に泊めてたのがバレたら怒られそうだし」

「そっか…」

何とも言えない気持ちになると彼女のことを一度抱きしめる。

「雪見くんは優しいね…ありがとう」

「そんなことは…」

何も言うことも彼女のために何かをすることも出来ずにいる自分を情けなく思う。

「じゃあ今日も勉強ね」

「わかった」

結局土日は僕の家で勉強三昧の時間は続くのであった。

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