第13話学校始まってから最初の週末
二学期が始まってから僕とさらりは普段よりも30分早く登校するようになった。
もちろん早く登校するようになった理由は勉強のためである。
図書室で朝早くから勉強に集中して予習復習に専念していた。
「ここがわからないんだけど…」
正面に座るさらりに問いかけると彼女は丁寧に問題の解き方を指導してくれた。
「ここはこういうわけで…」
「なるほど。ありがとう」
図書委員以外に誰も居ない二人きりの図書室で僕らの早朝勉強は続いていった。
思いの外にも集中の出来る時間が続くとHRの予鈴が鳴り響く。
「教室行こうか」
「もうこんな時間。遅刻はまずいから片付けていこう」
そこから僕らは教科書とノートを鞄にしまうと図書室を抜けていく。
足早に教室に向かうとHRのチャイムが鳴った。
チャイムギリギリで着席すると担任教師が入室してくる。
「おはようございます。二学期が始まって一週間ほどが経過しましたが、もう生活には慣れましたか?二学期は長いですが中だるみしないように努めてください」
担任教師の話が終わると一限目の授業の準備を整えた。
「かがりのお陰で宿題提出に間に合ったよ〜。ありがとう」
「いいよいいよ。皆が頑張ったからでしょ?」
「そんなことないよ〜。かがりの教え方が上手だったからだよ〜」
「そうかな?でもありがとう」
女子グループが塊になって姫野を囲むと感謝を告げていた。
姫野は少しだけ困ったような表情を浮かべていたが、それでも嬉しそうに感謝を受け取っていた。
「天才も大変だね」
思わずさらりに言葉を投げかけると彼女も少しだけ哀れんだ表情で頷いた。
「1位にならなくてよかったかも…私がもしあんなに頼られたら困ってただけだと思うし…」
「まぁあれは姫野さんの人柄もあるんだろうけどね」
「私だったら頼られてないって?」
「そうじゃないけど…さらりちゃんだったら断るでしょ?」
「そう…かも…」
「でも僕には一生懸命に勉強を教えてくれて嬉しいよ。ありがとう」
「それは…雪見くんだから…」
彼女の言葉に表情が緩むと一限目のチャイムが鳴り響き生徒は着席して担当教師を待った。
そこから二年生二学期の大事な勉強の時間は始まるのであった。
放課後がやってきて生徒は各々の向かう場所へと向かっていた。
部活に向かうものバイトに向かうもの恋人や友達と遊ぶもの。
それぞれが向かうべき場所に向けて歩き出し僕とさらりも揃って教室を抜けた。
「今日はどこで勉強しようか?」
僕の問いかけに彼女は少しだけ気まずそうに口を開く。
「その…夏休み中に話した内容覚えてる?」
「ん?なんだっけ?」
「今日…金曜日だよ?」
「あぁ…じゃあ一度帰ってさらりちゃんの家に泊まりに行っても良い?」
「もちろん。最初からそのつもりだったよ」
その言葉を受けて僕らは一度帰宅すると荷物を持ってさらりの家に向かうのであった。
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