第24話 ゴブリン有機メタル

なんかムチャクチャ乙姫セリカに言われた。


アイドルってすごい魔性の知恵を持った人たちなんだって今回僕はじめて気づいたよ。テレビの中でさわやかに笑うあの人たちってほんとに怖い人たちなんだ。


婚約破棄されたら1億円取られるっていうし。


ひぃいいい。ひどい人と関わりになってしまった。なんとかしないと。


夕方、学校から帰って来て、いつもの訓練で上岡ダンジョンでゴブリンを倒しながら僕は言う。


「・・・なんかゴブリンで大儲けするアイディア考えないと、僕1億円取られるんだ」


「・・・1億くらいなら・・・融通してあげるけど・・・」


玉石さんがそんな返事を僕にくれた。


「へっ?」


「・・・私、20億くらい持ってるし。その代わり、Sクラスダンジョンに・・・ずっと一緒に行ってもらう・・・。隆起はずっと私の・・・奴隷になってもらう・・」


「それは困るよ・・・玉石さん」


トホホ。


ゴブリンをバッサバッサ倒しながら、僕はため息をついた。



なんていうか、僕みたいな庶民は思うんだ。金持ちって札束で殴るようなこと平気でできるんだなって。元々スペックが違うステータスの高い人間たちと関わるのってだから難しい。僕もお金持ちになれたら、乙姫さんを札束で殴ることができるんだろうか?



翌日、HRで中山に笑われた。中山は僕が嫌いでいつも僕をからかうクラスメイト。


「ははは。お前、ゴブリンで大儲けするネタ考えられなきゃ、乙姫セリカに婚約破棄されるんだってなぁ。ざまぁみろっ。ははは」


くそぉ。言い返せない。


玉石さんがやって来て、僕に頭を下げた。


「・・・悪かった・・・。クラスで・・・誰かいいアイディアがないかと思って・・・クラスの・・・みんなに・・・今の事情話した・・・」


ああ。玉石さんって意外と戦闘狂なだけじゃなく思いやりある人なんだな。僕が困っているのを見て動いてくれてたなんて感動だ。


「はは。僕のために頑張ってくれたんだったらいいよ。玉石さん」


「・・・からかうヤツがいるとは・・・思わなかった・・・」


そうだよねぇ・・・中山最低だ。


ただ、クラスの眼鏡くんこと、大野くんがそのとき言ったんだ。


「図書館検索したらどうだろう? 君、図書館栄養士だろ? なにかいい情報があるかも知れないよ」


なるほど! 大野くんありがとう。さっそく家帰ったらやってみよう。




図書館検索。


素材ゴブリンで検索。


1万12件ヒット。


へええ。ゴブリンでも色々素材として使うやり方があるみたいだ。


ただ多すぎるなあ。もっと絞り込みしてみようかな?


ふたたび図書館検索。素材ゴブリン、後、高額素材。


ヒット1件。


ん? ゴブリン有機メタル?




放課後、近くの児童公園でルルナに話した。


悪役令嬢Vtuberの幼馴染のルルナは驚いた。


「へえええ。ゴブリンの核を集めて、満月の夜に聖水で清めて魔力を流すとすごい金属になるの?」


「そうみたい。大体1000個くらい集めると、微弱電流でも高速制御できる配線基板の元になるみたい」


「・・・そんな情報どこで見つけたの?」


「図書館検索って異世界の情報も検索できるみたいで、精霊魔道国の秘密図書(SMDT)にあったんだ。精霊魔道国の国家機密みたい」


そこで、玉石さんがニヤリと笑った。


「・・・さっそく・・・やってみるべき・・・」


ルルナも笑う。


「そうね! うまく行ったらすごいことになるわ」


うんうん。大野くんに感謝。僕の今のピンチを救ってくれたのは、クラス一の秀才くんだったよ。


「・・・ただ・・・誰が魔法を使う?・・・魔法使える? 二人とも・・・」


「「ううっ」」


そうだ。僕も玉石さんも、ルルナも魔法が使えない。誰か魔法を使える人がいないとこのままじゃレアメタルできないよ!!!


「私に任せてください。私は魔法が使えますよ」


そのとき、乙姫セリカが児童公園にやって来て、僕らの話に加わってきた。なんでこの場所わかったの? 乙姫さん。


「GPS機能で常に監視してますから、あなたの居場所は常に私は掌握しています」


うぅ。怖いよ。乙姫さん。


ただ、本当に魔法使えるの?


「いいわ! それじゃあ、早速満月の夜にライブ配信ね!!」

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