第7話 一時的な有名人

僕は一時的な有名人になってた。


クラスでもみんなが噂していて、他のクラスからも僕を見に来る人がいる。


後、なぜか、急に「好きだ」とか知らない女子に言われた。


本気かな?


ルルナと話したらルルナにすごい怖い顔で言われた。


「彼女は単なる人気取りよっ。隆起がモテてるわけじゃないかしら」


「はっきり言うなぁ。ルルナは」


「とにかく!!! 告白受けちゃダメよっ。状況に流されてはダメなの。絶対!!!」


「うん。わかってるよ」


ルルナはプンスカ怒ってるけど、なんだか、その表情がかわいらしい。


嫉妬?


まさか、僕らは単なる幼馴染なのに。


クラスで目立たなかった僕の人気は急上昇。女子が僕の噂。クラスのイケてる男子とかが褒めたたえてくれる。


「エモい! ちょー伊藤エモい! カッケぇーーー!!!」


イケてる倉津がイケメンウィンクをしながら、僕に肩を廻して激励。


中山たちが嫉妬して僕の陰口を叩いてるけど・・・


「がんばれー。俺らエモのお前の味方だぞー」


エモいってなんだろ? わかんないけど、うれしいな。


ただ、ルルナが少しイライラとしている風なのが気になる・・・。


「隆起の魅力は私だけがわかってるからよかったのに・・・何故なの?」


どうしたんだろ? ルルナ。




バイト先の図書館にも人が来たりして、僕は困った。


急に周りの人が僕について騒ぎ初めて、なんだか居心地が悪い。


僕の名前は有名になっていて、知らない人に「伊藤隆起だ」と言われる。


こういうのって調子に乗った方がいいのかなぁ。僕、イケメンになれない。


中山なんかはだいぶ僕に対して不満を持ってるみたいだ。


「ごっつぁんの癖に」


と、ぶつぶつ言ってる。


僕はごっつぁん伊藤と世間では言われてるらしい。


確かに僕は偶然強い敵を倒して強くなった。


ごっつぁんだ。はあ。




母さんが仕事に行って困ってる。


いろんな人に僕のことを言われて、何も言えないらしい。


確かに僕は実力で強くなったんじゃない。


だから、いろいろ言う人もいっぱいいる。


できるなら自力で強い敵を倒したかったけど、図書館栄養士の僕にはできない。


非戦闘職ってこういうときに割りを喰うなぁ。


「大丈夫よっ。そのうちみんな忘れるわっ。絶対そうなる。私がそうするから。絶対。あなたを助けてあげるっ」


ルルナはそう言って僕を慰めてくれる。


励ますように言ってくれるルルナは優しい。ただ、今日から急にルルナとの接触頻度が増えた。


ルルナは僕と関わるときにきょろきょろと回りを気にしてる。


「・・・世界が隆起の魅力に気づいてしまったわ。これは私がどうにかしないと・・・」


どうしたんだろ?



3日経ったときに、突然アイドルが学校に訪問して来た。


授業中に僕は呼び出されて、応接室でアイドルと面会した。


Vtuberで駆け出しのアイドルのルルナと違って、本当のテレビで観たアイドルだ。


乙姫セリカ。


すごくかわいいんだけど、そのアイドルが僕のことをじっと観ている。


なにか乙姫さんがテレビで僕に運をもらうために会いたいと言っていたのはネットで観て知っていた。


本当に会いに来るなんて。僕のごっつぁんが欲しいのかな?


ずっと無言で見つけられて僕は居心地が悪い。


そしたら、乙姫セリカが言ったんだ。


「・・・あなたに私とLIVE出演して欲しいんです・・・」


えっ?


なにもない僕がアイドルのLIVEに出るの? 本気で?

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