第11話 自分の鯉には名前を書いておけ2
とりあえず翌日、吉本のところに行き話をする。
『川武さんに聞いたら、死んだの一点張りで、殺してしまったから、お金を返したとのことでした。それと、九州大会の鯉は同じ親からの姉妹とのことでした。』
『本当かよ! そんなに似てる鯉いるか普通! 奴のとこの鯉はほとんど全部見てるけど
あんな鯉いなかったぞ!
だいたい、金を返せば良いって問題じゃないだろ! 』
『私が聞いたのは、残念ながら、それだけなんでなんとも言えないです。吉本さんから川武さんに聞いていただくしかないかと。』
『たく、お前も本当は何か聞いているだろ?なんなら一枚噛んでるんじゃないのか?』
何かは聞いているが、噛んではいない。
そもそも、俺を経由して買ってもいない鯉にわざわざ新潟まで交通費をかけて聞きに行ってやったのに、この扱いだ。
基本的に鯉の業界には自分を中心に地球が回ってると思ってるやつが多い。
『申し訳ないです。ただ、自分経由で販売したり、売買をした鯉ではないので、何もわからないと言うのが本音ですし、川武さんも話してくれないですので、直接聞いていただくしかないと思います。』
『ったく、今から電話するから、ここに居ろよ。
あ、もしもし、川武さん?
例の昭和にそっくりな鯉が九州に居るんだけど、勝手に売ったのか? お前やってくれたな!2度と行かねえからな!お前のところなんて潰れちまえ!』
どうやら、センプさんは、話してくれたみたいだ。まあ、吉本は損はしていないし、金も返ってきている。むしろ業界的には良心的な対応だったと言える。
まあ、これが良心的と言われている時点で、業界は人格破綻者が多いと言うことと、おかしいとしか言いようがない。
『おい!山越!お前も知ってたのか?』
『いいえ。そもそも、吉本さんの鯉は、吉本さんに携帯で見せてもらっただけですから、全く知らなかったですし、実物は見たことないです。
なのに、疑われるのも少し寂しいです。』
『まあ、そうか。ったく!お前らは本当に詐欺師だな! 鯉師、興行師、詐欺師とはよく言ったもんだ。全く、金積んでも全然勝てねえじゃないか! 早く勝てる鯉を安く紹介しろよ!
もう帰っていいぞ!』
『はい、良い鯉が居たら紹介しますね。申し訳ありませんでした。またよろしくお願いします。』
面倒なので、足早に軽トラに乗り込む。
あーあ、なんでこうなるかな
泳ぐ宝石 @koiya1151
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