第10話 自分の鯉には名前を書いておけ

『センプさん、怒らせてごめん、まあ、吉本さんにも悪い部分はあったわけだね。』


『持って帰るし、頼むから安く譲ってくれと言うから、200万という値段をつけたのに、その場で50万しかないから、あとは鯉を取りに来るときに、払うって言うし、そしたら忙しくなったから取りに行けないって始まって、秋まで預かれって言うしよ。本当に嫌になっていたんだよ。こっちも縁を切りたいと思ってたんだ。』


まあ、センプさんの気持ちもわかる。

基本的に預かっていた方は気が気じゃないが、預けた人は、よくなって当たり前だと思っている。


『金は返してあるんだし、吉本さんは被害がないといえばないのか。まあ、ちゃんと言わなかったことは、センプさんも良くないっすけど、

アヤのついた鯉は良くならないって昔から言いますし、直接センプさんに聞くように言いますよ。』


『だいたい、300で売って欲しいって話をしたら、吉本の場合は、まず300万を吉本に渡して、そこから残りの150万を払うとか言い出すだろ?あいつは成金の癖に、セコイし守銭奴の銭ゲバだよ。』


『とりあえず、吉本さんには直接聞くようにしますわ。それと、聞かれたらちゃんと話してくださいね』


『おうよ!お前の親父や兄貴には世話になってるし、悪いようにはしねえ。』


まあ、すでに迷惑は掛かっているのだけど…


とりあえず東京に戻るか。

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