第4話 どうしたら品評会で勝てますか?

夏も過ぎ、秋になると各地で、品評会の話題が聞こえて来る。

品評会というのは、言うなれば錦鯉のコンテストだ。


『品評会は、優勝より上の賞じゃ無ければ、表彰式なんか行かないよ』

『私は、最低でも国魚賞に入ってないとなー』

『これだけ払ったんだから、そりゃ国魚に行かなければ、やめたくもなるよ(笑)』


ここで言う『国魚賞』とは、全日本大会の上から3番目の賞である。各サイズごとに設定されているが、狭き門である。


ここで勝利するために必要なことは、簡単である。お金と知名度だ。


鯉の良し悪しは勿論だが、この大会に出てくる鯉たちのレベルは甲乙をつけ難い。愛好家には伝えたい。勝ちたければお金を払うことだと。


ほとんどの鯉屋は、自分が売った安い鯉なんて覚えていない。インパクトのある金額か、トラブルなどで嫌な思いをした鯉ならよく覚えている。


人間、そんなもんだ。


とある品評会で面白い話がある。

ちょうど審査中に有名な愛好家が、自分の鯉の前に立つ。

『あれ?俺の鯉、負けちゃったのかな?』

その一言の後、その鯉は一気に大きな賞に繰り上げ。


不思議なこともあるものだ。


良いか悪いかはさておき、幻想は持たない方が良い。

品評会で勝つには、金額で勝負をした方が良い。


しかし、錦鯉には穴がある。

とても簡単だ。賞の中でも比較的、誰も興味のない賞や品種があるのだ。

そこをうまく突けば、入賞なんてそんなに難しくはない。


愛好家は、夢を見ずにこういう穴場で勝負をするか、それでも真っ向から闘うか。

その二択である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る