⤴あげぽよ⤴ MAX 恋愛運を上げちゃうよぉ⤴

 さて、意味不明にクセが強すぎるお姉さんが強引に占い結果を変えて二週間。


 なんと、そりの合わなかった上司が急に異動になり、新しく来た上司は超優秀な人で効率重視で業務がグルんグルん回るようになり、残業はほどほどで帰宅できるようになってしまった!


 あのお姉さん、本当に魔女とかそういう人なのかもしれない……。

 といわけで、御礼もかねて、占いの館を再来店してみた。


***



//SE カランカランと店の扉が開く音

 占いブースの衝立から顔を出して、お姉さんは入口に向かって話しかける。



「はぁい。いらっしゃいませ!」//甘く元気いっぱいで


「え!? 嘘! また来てくれたの? べりべりのヤバヤバに嬉しいッ!」//はしゃぎながら


「えー! 覚えてるに決まってるじゃん! だって、君は、あたしの初めての人だもん!」//少しセクシーに



//SE 椅子を引き、客が座る衣擦れの音



「それにしてもぉ~、なんだかぁ~、すっごく顔色良くなってない? それにまだ時間、十八時半だよ? もしかして……」//嬉しそうに


「やっぱりぃ! お仕事良い方向に運気が変わったんだね!」//はしゃぎながら


「上司の人が変わって、『明日でいいことは、無理に残業せずに明日にしましょう』って? 超いい人じゃん! ホント、良き良きの良きだよぉ!」


「え? あたしのおかげ? そんなことないよぉ~」



 お姉さんは、お客さんの方に身を乗り出す。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音



「運命を引き寄せたのは、君自身の力だよ。 あたしは、ちょっと後押ししただけ」//ウインクしてる感じで・近距離演出



 お姉さんは、姿勢を戻す。距離感、元に戻る。



「ウソぉ! 今日は、六十分コースなの!? どうしたの? なにか仕事以外の悩み増えちゃった感じ? 大丈夫?」//驚きつつ心配な感じで


「『この前のお礼に』って、そんな本当に良かったのにぃ~。君が元気そうな顔を見せてくれただけで十分だよぉ~」//少しアタフタしつつ


「ん、もう~。じゃあ、今日は、はりきって多めにハンドマッサージしてあげちゃう♡」


「そうだ! ハンドマッサージなんだけど……実はですねぇ」//背後をふり返る演出



 お姉さんは、背後に置いてあったカバンを取って、マッサージオイルの入った容器を探す。

//SE ガサゴソとカバンから物を探す音



「なんとぉ~! マッサージオイルの香り増やしました~!」


「じゃじゃーん!」//盛大に


「ん? 今回は、やけに取り出すのが早いって? カバンの中、片付けたのか? そうだよぉ! めちゃエラでしょ、あたし。よくわからないゴミとか、たくさん入ってたけど、捨てたし」//すごく得意げに


「もう! あたしのカバンの中がグチャグチャだった話はいいの!」//少しプンプンした感じで


「いまは、マッサージオイルの香りの話!」



 お姉さんは、手に持ったマッサージオイルの容器をお客さんに見せる。そして、新しい匂いのマッサージオイルの入った容器の蓋を開ける。

//SE 容器のキャップを外す音



「ペパーミント&ユーカリの香りと、ラベンダー&ベルガモットの香りに加えて」//少しタメ


「新しい香りは、イランイラン&シダーウッドでーす」//かわいく



 お姉さんは、お客さんの方に身を乗り出す。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音



 容器をお客さんに近づけて香りをかいでもらう。



「ね? ね? 超超超いい香りでしょ?」//距離近め


「でも、イランイランもシダーウッドも知らない? そっか! イランイランはねぇ、お花の香り。しかも……」//距離近め



 お姉さんは、さらにお客さんの方に身を乗り出す。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音



「媚薬としての効果もあるんだって。ふふ」//耳元・超近距離演出



 お姉さんは、姿勢を戻す。距離感、元に戻る。



「いま、超ドキドキしたでしょ~?」//からかう感じで


「ごめん。ごめんて。でも、ドキドキしてくれたなら、嬉しいな」//照れた感じ


「シダーウッドは、木の香りだよ。森林浴してるように感じられるの」


「イランイランもシダーウッドも、どちらもリラックス効果が高いんだ」


「お! 今日は、この香りにしてみる? ふふ、嬉しい」



 お姉さんは、またお客さんの方に身を乗り出す。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音



「いっぱい、気持ちよくしてあげるね」//耳元・超近距離演出




(第五話に続く)

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