⤴あげぽよ⤴ x3 お仕事運を上げちゃうよぉ⤴

 一体全体、占いと何の関係があるのか、ないのか、よくわからないけど、気持ち良かったぬるぬるハンドマッサージも終わり、お姉さん占い師は、いよいよ占いをするようだ。

 姓名判断も四柱推命しちゅうすいめいも手相も勉強していないらしいこのお姉さん不安しかないぞ!

 でも、可愛いから、まぁいっか。


***



 お姉さんは、タロットカードをテーブルの上で、かき混ぜている。

//SE タロットカードがかき混ぜられて、擦れる音。



「さてさて、何について占いましょうか? お悩みは、やっぱりお仕事関係かな?」


「ふむふむ。いまのお仕事が、とにかく残業ばっかりで、上司からのプレッシャーも強いんだね」


「そっか。つらくて、仕方ないんだねぇ。何について占いたいのかも、上手くでてこない感じかぁ。それって、超ストレスマッハじゃん」//同情し肯定する感じ



(ここまで、タロットカードのシャッフル音は続ける)

 お姉さんは、カードシャッフルの手を止めて、向かいのお客に身を乗り出し、頭を撫でてあげる。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音

//SE 頭を撫でる音。



「よしよし。あたしがお仕事運、アゲアゲしてあげるからね。任せて」//優しく・近距離演出



 お姉さんは、姿勢を戻す。距離感、元に戻る。再びカードシャッフルを再開。

//SE タロットカードがかき混ぜられて、擦れる音。



「具体的に今やってる仕事が上手くいくか、と、今の仕事が向いてるかなら、どっちがピンとくる?」


「とりあえず、具体的に今やってる仕事が上手くいくかの方が気になるのね! りょ(※了解の意)」



 お姉さんは、シャッフルしていた手を止めて、タロットカードを一つにまとめる。

//SE タロットカードがトントンとテーブルで整えられる音。



「タロットカードって、カードが上向いてるか、下向いてるかで意味が違ってくるんだ。だから、どっちを上にするか、決めて」



 タロットカードの束の上で、お客さんがどちらを上にするか決めるために指で叩く。

//SE トン、と叩く音



「にゃ。こっちが上ね。そしたら、このタロットカードの束を、さらに三等分してと」


「利き手で、この三等分した束を好きな順で重ねてくれる?」



 お姉さんは、重ねられたタロットカードの束をまたテーブルで整える。

//SE タロットカードがトントンと整えられる音。



「はい。利き手と逆の手を出して。そう。タロットカードを置くから、上から利き手を被せてね。うん。そう。私も上から手を乗せるね」


「じゃあ、目をつぶって、ゆっくり占いたいことを思い描いて」//ゆったりと


「……スーハー」//鼻から息を吸い、吐き出す音


「はい。目を開けて」



 お姉さんは、包み込んでいた手を外して、タロットカードの束を自分の手の中に戻すと、上から六枚のカードを横に置く。

//SE シャッシャッシャと、六枚分のカードの擦れる音。



「そうなの。最初の六枚は、今回は使わないの」


「面白いよね。占い師さんによっても違うし、カードの置き方によっても、やり方全然違くて、奥が深いんだぁ。タロット占い」


「なにより、人によって、それぞれ占い結果が違うのがいいよね。やっぱ、運命フェイトはその人だけのものじゃないと!」//力強く



 お姉さんは、タロットカードを七枚目から三枚、横に並べて置くと、左側からめくりはじめた。

//SE シャッシャッシャと、三枚分のカードの擦れる音。

//SE シャッとカードがめくれる音。



「むむむ。なるほど。えっとね。左から過去・現在・未来を表すカードになるのね」


「まずは、過去。死神のカードで驚いちゃうかもしれないんだけど、見かけと違って、そこまでネガティブなカードじゃないんだ。『死』ってのは『終わり』のことでしょ? そこから転じてね、ガラッと物事が変わる『心機一転』って意味もあるの。いまの会社は転職?」


「そっか。部署を異動になったんだね。それを表してるカード」


「次に、現在ね。このカードは、魔術師のカード。それの逆位置ね。さっき、束のどっちを上にするか決めたでしょ? それが、こういう風に出るのね。それで、魔術師のカードの本来の意味は、奇想天外なアイデアで魔法みたいに、パッパッとなんでもできちゃうみたいな感じ」


「でも今は逆位置だから、全然計画通りに進んでないってことを表してて、それで苦しんでる気持ちの表れだと思うんだけど、どうかな?」


「前任者が仕事終わらせずに、会社を辞めちゃったんだ……。それを頑張って文句も言わずに、どうにか期日に間に合わせようとしてるんだね」


「えー! そんな悲しい顔しないでぇ。つらいよねぇ。うんうん。えらいよ。それでも人のせいにせずに、頑張ってるんだもん! 本当にすごいよ!」


「よし! 最後の『未来』を見ていこう! これはちからのカード。それの逆位置。力って言っても物理的なパワーじゃなくて、精神的なことね。自信とか目標をやりとげる信念とか、そういうこと。それが逆さまになってるから、今のままじゃ、自信をどんどん失くしちゃって、仕事やり遂げられないって暗示が出ちゃってるの!」



 お姉さんは、椅子から立ち上がる。

//SE ガタッという椅子の音



「でも! 今日、君は、あたしにこうして偶然出会いました! これは運命フェイトよ、運命フェイト」//自信満々に


「いい? 運命フェイトってのは、自ら切り開くものよ!」//キリッとした感じで


「ていやぁー!!」


運命の旋回フェイトォォォオオオオ・スピンッ」//必殺技っぽく



 お姉さんは、力のカードをはじいて回転させ、途中で指で止めた。

//SE ドンッと、回転してるカードを指で止める音。



「……フッ……力のカードが正位置に。これで本来の力を、君は取り戻したわ!」


「大丈夫よ! 自信をもって突き進んで! あたしがついててあげる!! 絶対に大丈夫よ!」//自信満々に



 お姉さんが、力強くそう断言した時、タイマーが鳴る。

//SE ピピピピピピ、タイマー音。

 お姉さんは、タイマーを止めた。



「はい、これでお時間でーす。初回は二千円引きで、三千円になりまぁす♡」


「あ、ポイントカードお作りしますかぁ?」



(第四話に続く)


なお、作中の占い結果のタロット見たい方は、こちら。

https://kakuyomu.jp/users/sasa_makoto_2022/news/16817330662679157934 

***

本作は、第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテストに応募中です。

少しでも本作お気に召しましたら、是非とも作品のフォローや星★評価をお願いします!

また、ハートはしおり代わりに、応援コメントは感想お気軽に♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る