⤴あげぽよ⤴ x2 お仕事運を上げちゃうよぉ⤴

 なぜか心惹かれて入店してしまった占いの館。お姉さん占い師に乗せられるがままに、ハンドマッサージ用のアロマオイルを選んだり。


 ここまでされたら、さすがにもう引き返せない。観念して、占ってもらうことに。


 このお姉さん、実は商売上手なのでは?


***



「じゃあ、お試しの三十分コースね! りょデース(※了解ですの意)」//イエッサーって感じで



 お姉さんは、タイマーをセットする。

//SE ピッピッというタイマーセット音



「んー? 名前や生年月日を教えなくて、いいのかって? あ~、あたし、そっち方向ぜんぜんわかんないからさぁ。えへ」//てへぺろ感


「姓名判断とか、四柱推命しちゅうすいめいとか、できる人すごいよねぇ」


「でもさぁ、同姓同名だったり、同じ日に生まれたりしたからって、運命似てるとは思えなくなぁい? ぜったいに、ちがうっしょ。運命フェイトはその人だけのものっしょ」//少し真面目に


「あ、占い師がこんなこと言っちゃダメかも。いまの内緒ね!」//バツが悪そうな感じで


「それでは、ハンドマッサージから始めまぁす」



 お姉さんは、マッサージオイルを手に出すと、両手で伸ばし広げる。

//SE チューブを押して、グチャっとオイルが出る音

//SE 両手でオイルを伸ばす音。クチュクチュに近い感じで。


 お姉さんは、向かいのお客に身を乗り出す。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音


 お姉さんは、お客さんの手を取ると、オイルを手のひらに伸ばしていく。

//SE オイルですべりながら、皮ふの擦り合う音。ムニュムニュとグチュっとを混ぜた感じで。※ここからマッサージ終了まで、会話の背後でこの効果音を続ける。



「ふふ。手、おっきい。このさわり心地めっちゃ好きな感じ」//近距離演出ここから


「ここ、すごい凝ってるねぇ。ゴリゴリしてるよ」


「痛い? だよね。だって、超ゴリゴリだもん。ここ、胃腸のツボだよ。痛いけど、少し我慢して、ほぐすと、あとで楽になるから」//自分のことのようにツラそうに


「仕事で上司から色々言われてるんだね。それじゃあ、胃も痛くなっちゃうね」


「親指も痛いでしょ? すっごい固いよ」


「親指は、頭のツボなんだ。もしかして、寝不足じゃない? 大丈夫?」


「ここは肩のツボ。肩こりもヒドそう。カチコチ」


「さっき、ずっとパソコンの仕事って言ってたもんね。手のひら返して。手首も揉んであげる」


「気持ちいい? へへ。良かった。嬉しい」


「じゃあ、もう片方の手も貸して」



 お姉さんは、追加でマッサージオイルを出す。

//SE チューブを押して、グチャっとオイルが出る音

//SE 両手でオイルを伸ばす音。クチュクチュに近い感じで。



「ふふ。手のひらの色、ピンク色。手もあたたかくなってきた」


「血行が良くなってきた証拠だね」//嬉しそうに・近距離演出ここまで



(オイルですべりながら、皮ふの擦り合うムニュムニュとグチュっと音はここまで)



「はい。ハンドマッサージは終了! 気持ちよかった? なら、よかった。私も喜んでもらえて嬉しい」


「ねぇねぇ。でも、もうちょっとだけ、手相見せて」



 お姉さんは、手のひらの生命線と頭脳線を指で撫でる。

//SE ズリッとした音。



「やっぱり、さっき揉んでる時も思ったんだけどぉ」


「こんな手相はじめて見たよぉ。まぢウケる~」//喜んだ感じで


「なんで、曲がってるの。プクク。生命線と頭脳線」


「怒んないでよぉ。ごめんて」//申し訳なさげに


「でもでも! とっても素敵な手相だよ! 唯一無二だよ!」//つとめて明るく


「手のひらの真ん中を通ってる運命線も波打ってるし! よくわからないけど、大成しそう!」


「え? よくわからないけどって、どういうことって?」


「あ~、だってぇ、あたし、手相なんて勉強したことないし」//てへぺろ感


「さっきも言ったっしょ? 同じ手相持ってたからって、運命が同じわけないじゃん! 運命フェイトはその人だけのものっしょ」//えっへんって感じで


「さてと、手がオイルでぬるぬるのままじゃ、タロットカード汚れちゃうから、手拭こうっと」



 お姉さんは、背後にあるタオル蒸し器を開け、お手拭きタオルを取り出し、手を拭く。

//SE バタンと、蒸し器の扉を開ける音。

//SE タオルで手を拭く音。



「ん? なんで、おしぼりの蒸し器があるのかって?」


「オーナーに、占いのついでに、ハンドマッサージやりたいって言ったら、『ぬるぬるのままじゃ、占いできないでしょ』って置いてくれたんだよねぇ~。この店、前はキャバクラだったみたいで、倉庫に置いてあったんだって」


「え? ボクも、おしぼりほしい?」//キョトンとした感じで


「ごめん! ごめん! そうだよね! ぬるぬるのままなんて、イヤだよね。ほんと気が利かなくて、まぢごめん」//慌てて



 お姉さんは、もう一度、背後にあるタオル蒸し器を開け、お手拭きタオルを取り出す。

//SE バタンと、蒸し器の扉を開ける音。


 お客さんへ、おしぼりを手渡すために、身を乗り出して、お客さんの手を包む。

//SE 身を乗り出す衣擦れの音



「でもぉ、でもぉ……おしぼりで手を拭いちゃったら、アロマオイルのいい匂い……消えちゃうよ?」//上目づかいな感じで・近距離演出



(第三話に続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る