15 選択(ケース2)

「やべっ!」

オレはトラックにはねられた。

そして次の瞬間、何もない空間に立っている。


どこ、ここ?


気付くとオレの正面に半裸の女性が椅子に腰かけている。

あれ、いつからそこに居た?


「あなたには2つの選択肢があります。」


聞き覚えのあるフレーズ。

もしかして、あの人は女神なのでは!?

異世界物でよく見かけるシーンじゃん。

オレは死んだということか。

となると、彼女の言う選択とは第二の人生ってことだな。


・・・


やはりそうだ。

彼女の説明によるとオレは既に死亡してて、次の人生を選択しろだとさ。

思った通りの展開だ。


「1つは記憶を残したままファンタジー世界へ転生していただきます。」


異世界来たぁ。魔法にチート能力、無双だぁ。

美女達にチヤホヤされるパターンか。

それとも女戦士たちと共に旅するやつか。

くぅー、どっちでもいい。


「そこで奴隷としてあなたは買われ100年間重労働させられます。」


はい?


「あのぉ、勇者になって魔王を倒すんですよね?」

「違います。奴隷として100年間重労働します。」


オレが頭を抱えていると。


「2つ目は現生へ戻り、地獄へ行ってもらいます。

 そこで100年間苦痛に耐えてもらいます。」


ちょっと意味が分かんないんだけど。


「そんな選択肢ある?聞いたことないよ。」


「誰に何を吹き込まれたかは知りませんがこれが現実です。

 さぁ、選んでください。どちらにします?」


ふざけんな、選べる訳けなかろう。


「どっちもやだね。

 もっと好条件な選択を用意してもらうまで答えないからな。」


「ではご勝手に。」


その一言を告げると、女神は消滅してしまった。

以来、何度呼び掛けても女神が現れることはなかった。

そして誰かが訪れることもない。

オレは何もないこの空間に永遠と1人取り残さることとなる。


「おぉい、誰か返事してくれ!」

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