14 ダンジョン攻略

「大丈夫だって。」

オレが鼓舞するも不安そうな顔で真後ろを付いて来る案内人。

ここは地下迷宮。潜ってまだ数分と経ってない。

パーティはC級冒険者のオレと案内人の2名のみ。

希少な魔晶石が大量に転がっているところへと向かってる訳だが。


「泥船に乗ったつもりでいろ。」

「それ死フラグ立ってないっすか!」

案内人でなくても不安がるのは当然だろう。

最低でも6名のA級冒険者達で行くような場所なのだから。


だがオレには勝算があった。

2つのアイテムを持参してるから。

1つは転移クリスタル。

緊急脱出用で地下迷宮の出入り口へ転移できるというもの。


もう1つは転移魔道具。

形状は30cmほどの木の枝にしか見えないが、

これがなんと魔力を込めれば先端から直径2mの魔法陣が投影される代物。

その魔法陣に触れるとどこかへ飛ばされる能力を持つのだ。

この魔道具、高価でありながらどこに飛ばされるから分からない

ということもあり誰も興味を示さなかった物である。


オレは気付いてしまった。

モンスターに対して利用すれば盾になるのだと。


「旦那!」

案内人の呼び掛けで前方に焦点を当てると、早速お出ましだ。

体長5mもある蛇に似た魔物の大群が。

逃げたら背中から噛まれる。


「うわー」

オレは魔道具を発動させ前方へ走り抜ける。

魔法陣にちょっとでも触れればいい。

次々と蛇をどこかへ吹き飛ばすこと成功。

怪我1つすることなく切り抜けられた。

大成功である。


その後も、竜の住み家を通り抜ける際に、

竜が吐き出した炎を食らったが魔道具で防ぎ切った。

炎までも飛ばすことができるのだ。

これは最強だ。オレは確信する。

A級冒険者10人よりも、この魔道具1つあれば事足りることを。


次々と襲いかかるモンスターを魔道具で吹き飛ばし、

我々は誰も到達できなかった目的地へと足を踏み入れることが出来たのである。


そこは壁面全体が魔晶石の空間であった。なんと美しい光景だろうか。

これで莫大な金貨が手に入る。金がなくなったらまた来ればいい。

一生寝て暮らせるこを実感したのであった。


2人で魔晶石をリュックにパンパンに詰め、転移クリスタルで入口へと戻る。

クリスタルも決して安いものではないが、莫大な金が手に入るのだ使っても問題ない。


「旦那!町の方が何やら騒がしいでっせ。」

オレらは急いで我が家へと戻ると、城も含めて町全体が炎の海で覆われていた。

しかも、魔物がウジャウジャと暴れ回っている。

人々は逃げ回り、地獄絵図となっていた。


「なぜ、ダンジョンでしか見ない魔物が地上にいるのだ?」

ーーー 完 ーーー

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