106.おじさん、熊さん

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【まえがき】

 お待たせしました。

 カクヨムコンもそろそろ終わるのでボチボチ再開していきます。

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 ■マナ・ナマズ ランクO

 レベル:60

 

 HP:1042  MP:429

 AT:320   AG:344


 魔法:メガ・スプラッシュ、メガ・アース

 スキル:激怒、瞑想

 特性:水生

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「無事、テイムできましたね!」


「あ、有難う。シゲサトくん」


「いえいえ」


 ジサンはマナ・ナマズをテイムする。釣り上げたのは、シゲサトであったが、例のごとくドラゴンではないため、ジサンに譲ってくれたのであった。


 マナ・ナマズは見た目に反して、魔法主体で戦ってきたが、特殊な行動をしてくるわけでもなく、フルメンバーでランクO相手に苦戦するということはなかった。


「でもこれで……やりましたね!」


 シゲサトは笑顔で言う。


「はい」


「魔帝:リバドの出現条件。カスミガウラのシクイドリ、イナワシロコのナイスクリーム、ビワコのマナ・ナマズ。三種類、テイムしました!」


「そうですね……」


 グロウとの少々、怪しい会話により幾分、気落ちしていたシゲサトであったが、熊を釣り上げた辺りから元気を取り戻したようだ。


(……)


 ジサンはふと、その熊を探す。

 熊はジサンらの後方……元いた位置で再び水面を見つめている。


(って……えっ?)


「あれ? でも肝心の魔帝:リバドとはどうやって戦うんでしょうね?」


 シゲサトは首を傾げる。


「ひゃっ!? オーナー、どうしたんですか!?」


(っっ!?)


 ジサンが控えめに人差し指でシゲサトの肩をトントンすると、かえってシゲサトを驚かせてしまう。そのシゲサトの反応にジサンも肩を揺らして驚く。


「もう……驚かせないでくださいよ……それで、どうしたのでしょう」


「あ、あぁ……あれ……」


 ジサンはシゲサトの肩をトントンした人差し指で指差す。


「……?」


 シゲサトは不思議そうな顔をしている。


「ん……? 熊紳士さんがどうしたんですか?」


 シゲサトが発した熊紳士という単語は謎であったが、確かにジサンが指差したのは熊紳士であった。


「表示名……」


「えっ?」


 シゲサトは目を細めて、熊を凝視し……


「えぇえええええ!?」


 熊には先程までなかった名称が表示されていた。


 その名称は――“リバド”。



 ◇



「あ、あのぉ……」


 シゲサトは意を決して、熊さんに話しかける。


「なんでしょう?」


「もしかして魔帝のリバドさんですか?」


 それはまるで街中で偶然、著名人を見掛けてしまい、ほぼ間違いないのだが、間違いだったらどうしようという感覚に近かった。


「……そうです」


「や、やっぱりそうみたいだよ」


 シゲサトは今度はジサンに向き直り、焦りの表情で言う。

 熊さんは挑戦条件を満たしたことでボスとしてアクティベートしたようだ。


「ど、どうしましょう……」


 シゲサトは眉を八の字にしてジサンに尋ねる。

 困ったことに熊さんへの情が湧いてしまっていたのだ。

 たったあれだけのことであったが、それでも情が湧いてしまうのが人間ということだ。


 リバドは公開ボスだ。故にテイムもできない。倒してしまえば消滅して終わりだ。その後、どうなるのかは分からない。


「すみません、かえって気を使わせてしまいましたかね……」


 熊さんが申し訳なさそうに言う。


(……)


「そんなに心配せずとも大丈夫だと思いますが……」


 サラがそんなことを言う。


「所詮はデータですよ」


 サラのその発言は逆効果であり、ジサンは珍しく反感を持つ。


「サラ、言わせるな」


「え……?」


「俺はお前が言うそのデータにデータ以上の何かを抱いてしまっているのはお前が一番よく知っていると思っていたのだが……」


「っっっ……!」


 ジサンは熱くなったせいか、いつもより幾分長い言葉を発する。


「マスター……! ごめんなさい……今の発言は取り消させてくださいっ!」


「あ、いや、俺の方こそすまん……」


「ど、どうします……? オーナー……ごめんなさい……俺は……実はもう……! ……そんなにリバドを倒さなくてもいいんです」


 シゲサトは何やら申し訳なさそうにそんなことを言う。


「……」



 ◇



 [ジサン:公開ボスを消滅させずに倒す方法はあるか?]


 [ルィ:二千万カネな]



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