92.おじさん、勘違い?
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■アサシン・マシン ランクN
レベル:50
HP:820 MP:200
AT:450 AG:455
魔法:アクセル
スキル:暗殺剣、レーザー・アイ
特性:甲鉄
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(ランクNのメタルタイプは初めてかもしれないな……これは豊作の予感)
実はカスカベ地下外郭ダンジョンにはメタルタイプは出現しない。
そのため、ジサンは高ランクのメタルタイプモンスターを所持していなかった。
「やはり……それほど苦戦はせぬか……」
ステファが驚きと感心が入り混じったように呟く。
「油断は禁物ですが」
ジサンが応える。
「なるほど……頼もしいことじゃ」
ステファはそう言うと何かを考えるように顎に手を添えるような仕草をする。そして再び口を開く。
「昨日も申し上げたが、この先はもっと機械兵が湧いてくる。もう少し森の奥を調査したいのじゃが構わないか?」
「大丈夫です」
利害関係は一致する。
◇
その後、四人は森の中を進んでいく。
確かにメタルタイプの魔物が異様に多く、森を進む程、その数は増していった。
(これだけメタルタイプが集中して出てくるのは初めてかもしれないな……)
故にジサンはホクホクであった。
「ま、マスター」
「ん……?」
サラが小声でホクホクしていたジサンを呼ぶ。
珍しく少し焦燥を含んだような声色だ。
「どうした……?」
「先ほどからアイツの様子がおかしくないですか……?」
「へ……? あいつ?」
サラはチラッと後方を歩くシゲサトの方を見る。
(……)
ジサンはふと思う。
機械兵に夢中で気づいていなかったのだが、先刻からシゲサトくん、全然、喋ってないな……
そしてシゲサトの様子を
(……!)
シゲサトはやや俯きながらハァハァと辛そうに肩で息をしていた。
「だ、大丈夫か? シゲサトくん……」
ジサンは慌てて声を掛ける。
「お、オーナー……お気遣い……有り難うございます……大丈夫です……」
シゲサトは途切れ途切れな口調で、明らかに大丈夫じゃなさそうに応える。
「でも……すみません……」
「え?」
「もう……我慢…………できません!」
次の瞬間、カッと前を向いたシゲサトは彗星のごとく、ジサン達の方に突進してくる。
ジサンは身構え、反射的に目を
(…………?)
しかし、ジサンには何も起きていなかった。
そう、ジサンには……
「う、うわ……! と、突然、何をするのだ!?」
(…………?)
「うわぁあん! サラちゃん、可愛過ぎぃ! むぎゅ! むぎゅう!」
(え? そっち?)
「やめるのだ! 我はマスターだけのものであるぞ!」
「いいじゃん、いいじゃん、減るものじゃないし」
シゲサトはサラにしがみついていた。
(…………)
「コリダケの効果じゃろうな……」
「はぁ……」
「解らぬか……? ボーイミーツガール……じゃよ」
ステファはなぜか遠くを見るように達観したような顔で言う。
(いや、解らぬよ)
普段、性欲があまりないシゲサトであったが、コリダケを摂取したことにより、彼の中の子孫繁栄の本能が強制的に呼び覚まされる。
彼の中の野獣は、若く健康な母体を求める。
ジサンは男のため論外だ。となると、比較対象はサラとステファになる。
結果、実年齢がおよそ二歳と比較的若いサラがターゲットになってしまったようであった。
「サラちゃん……」
「な、なんだ……」
「俺の子供を作っ……」
「いかん! そういうのは互いの気持ちを尊重すべきものとデータアーカイブに載っておるぞぉ!」
(意外とまともなことも載ってるんだな)
◇
(少し落ち着いたかな?)
シゲサトはサラに抱きついていたが、しばらくすると、ハッとした表情を浮かべ、サラから離れた。そして、徐々に荒い呼吸も整いつつある。
「コリダケの効果はそう長くはない」
ステファが先に言っとけ情報を提供してくれる。
「シゲサトくん、大丈夫か?」
「す、すみません……オーナー、俺としたことが……取り乱してしまいました……ごめんね、サラちゃん……」
「う、うむ……も、元はといえば我にも責任はある」
確かにサラがキノコを奪おうとしなければシゲサトがキノコを食べることはなかったのだ。
「…………ごめん」
シゲサトは眉を八の字にして、しょんぼりしている。
(しかし……シゲサトくんは……やっぱり女性の方が好きなのだろうか?)
ジサンはふと、昨晩、自分がシゲサトにされた質問のことを思い出していた。
◇
その後、ジサンらは森の中を西へ西へ進んでいく。
ステファの前情報の通り、機械兵の数が増えていったため、逆にその数が増す方向を指針に歩を進める。
その数がピークに達した頃、レンガ造りの神殿のような建造物を発見する。
そして、その中から機械兵が湧いてくる現場を確認する。
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