58.おじさん、リトライ
「シクイドリです!」
「はい……!」
「俺に任せてください……! 行くよ! ヴォルちゃん!」
シゲサトはそう言うとヴォルちゃんに跨がり、あっという間に飛び立ってしまう。
(あ……)
ジサンは出遅れる。
シクイドリはかなり遠くにいるのだが、双眼鏡のおかげですでにエンカウントは成立しているようだ。逃げる気配もない。
(よし……俺も……!)
ジサンはなんとなくシゲサトの真似をしようとピュア・ドラゴンに跨がる。
が……
「!?」
「ふわっ! ひゃっ……! ま、マスター……それは大胆ですぅ……」
すでにピュア・ドラゴンの背中でうつ伏せになって伸びていたサラに覆い被さるような事態になってしまう。ポニンという感触、及びその体勢は流石にアレであった。
「す、すまん……! サラ!」
ジサンは赤面しながらサラに謝る。
「いえ……サラはマスターのモノですから……いつでもお好きにしていいのです……」
(い、いや……流石にいつでもはまずいだろ……)
事故的ではあったが、普段、子供のようにしか扱ってくれないジサンがいくらか焦っている様子にサラは……
うほぉおおおお……! マスターが可愛いぃいいい! と思っていた。
と、そんなトラブルが起きている間に……
「そろそろ行くよ!」
シゲサトはシクイドリからはまだかなり距離がある。
だが、そこは彼にとってすでに射程範囲内であったようだ。
大きめのヘヴィ・ボウガンのような銃器を脇に抱え、シクイドリに狙いを定めている。
「くらえっ!!」
連続した発射音と共に弾丸がシクイドリに向かっていく。
◇
「無事、テイムできました! ランクはNみたいですね」
「あ、はい……それはよかったです」
シゲサトは無事にシクイドリをテイムできたようだ。
剣聖のような近接タイプもこなし、ドラグーンのような銃火器も巧みに使用するシゲサトは戦闘のセンスが非常に高いようであった。
「これでカスミガウラでの条件は満たしました。後は本ターゲットの魔騎士ルーペを倒して……斡旋所で双眼鏡を返却すればOKです……!」
サラ、ピュア・ドラゴン、ヴォルちゃんもやれやれといった様子で胸をなで下ろす……のだが。
「あの……」
「はい……?」
「私も……」
「え……?」
「私も……シクイドリが欲しいのですが……」
「「「「………………!」」」」
二人と二匹は硬直する。
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