42.おじさん、遅刻する
「すごい……本当に来れちゃった」
ツキハがマップを確認しながら呟く。
「ここはモンスター牧場タワーダンジョンと言いまして、ファザー牧場跡地に位置します」
「はい……」
「私はここのとある階層のオーナーをやらせていただいていまして、その特典として週1回に限り、往復ワープが可能です」
「すごっ……さっきから凄いとしか言ってないけど、本当、凄い……私も買おうかしら……」
「あっ、そういうことを言うと……」
「お買い上げをご希望ですかーー!?」
セールスマンことダガネルがどこからともなく飛んでくる。
「ですが、ワープが使えるのは上層3階層だけですよー! 98Fと100Fはお買い上げいただいたので、残るは99Fのみですよー! 決断はお早めに! お値段は期間限定5億カネ!」
(おい……前来た時も99Fは5億だったよな?)
「なっ……! 高っ! ……って、気になるけど、とりあえず”空の大樹”に向かわなきゃ……!」
「おや? オーナー、今日は牧場を覗いては行かれないんですか?」
「すまん、ちょっと別の用事でな」
「そうですか……タワーを出ますと元の場所への帰還ワープの権利が失われますが、大丈夫ですか?」
「あぁ、構わない……」
◇
そこからジサン達は急いで、コウベに向かった出発点であるトウキョウはスミダに戻り、空の大樹を駆け昇る。
空の大樹は超高層の大型ダンジョンではあったが、ツキハ、チユはラファンダル攻略時に経験済みであり、おかげで効率的に進行することができた。
◇
ソラノ大樹、頂上付近。
巨大な扉の前に立つ。
「着いた……間に合った……のかな?」
ツキハが囁くように言う。
確かにまだアルヴァロ討伐の報せは届いていない。
「そうね……懐かしさすら感じるわね……そんなに時間は経っていないのだけど……」
「あの時は初めて三人での魔王挑戦で、すっごい必死だったね……」
(……? 第四魔王:アンディマの討伐も三人だったはずだが……)
もしかしてちょくちょく出てくる”ミテイ”という名の人物が何か特別な存在であるのだろうか……とふと思うジサンであった。
「そうね……」
「さて……思い出話もこれくらい……ジサンさん、今回は本当に有難うございました……」
「いえ、こちらこそ貴重な体験ができました……」
「そう言ってもらえると嬉しいよ……それじゃあ……」
ツキハが巨大な扉を押す。
扉はゆっくりと開く。
その時であった。
ふいにポップアップが発生する。
「っ……!?」
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◆2042年10月
魔王:アルヴァロ
┗討伐パーティ<リリース・リバティB>
┝ライ クラス:アサシン
┝アキトモ クラス:森人
┝グル クラス:アーク・ヒーラー
┗サイカ クラス:勇者
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扉が開く。
中にいた今しがたアルヴァロとの戦闘を終えたと思われる四人がこちらを見る。
「今日は何て良い日なのかしら……」
(……も、茂木さん)
「一足遅かったわね…………小嶋くん……」
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