41.おじさん、跳ぶ
「あれ? サラちゃんは……?」
(確かに討伐パーティにサラの名前が掲載されていなかった。いや、今更ながら掲載されていたらそれなりに厄介なことになっていたことに気付く)
「ちょっと恥ずかしく、特性により無理矢理、離脱させていただきました……」
「あら……そんなことが……でも、クラスだけでも恥ずかしかったの?」
「はい、私……極度の秘密主義者でして……」
「そ、そうなんだ……」
ツキハ、チユは若干、腑に落ちない様子であったが、ひとまず納得する。
クラス:大魔王が公表されていれば大きな話題になるだけでなく、下手をしたら月丸隊にも何らかの疑いを掛けられるかもしれない。そうなればきっとジサンは傷つくだろう……
サラは自分のせいでジサンがそのようになる姿は見たくなかった。
故に”GM権限”を行使し、戦闘から離脱した。
◇
「…ジサンさん、すみません。エスタを倒して、少し休みたいところだと思うのですが……」
「……アルヴァロですね」
「はい……」
「元々、ジサンさんにはエスタの討伐だけのヘルプをお願いしていましたが……」
ツキハが遠慮気味に言う。
継続してヘルプをして欲しいということは鈍感なジサンでもわかった。
「……構いません」
この人達はそれ程、悪い人達じゃない。
ここまで来れば、どこまででも……と意外にも前向きなジサンであった。
「有難うございます! 本当にすみません……!」
ツキハにとって、申し訳ないと思いつつも、ユウタがいない今、やはり彼の力が必要であった。
「でもツキハちゃん、アルヴァロはトウキョウでしょ? 移動に二~三日は掛かるけど……」
「うん……二日なんて大したことないような気がするし、本当にそこまで急がなきゃいけないかは分からないけど……アルヴァロは、エスタみたいに挑戦に魔王討伐の条件があるわけでもない……」
ツキハはジサンのように実力を隠したプレイヤーが相当数いるのではないかという懸念もあり、少なくはない焦燥を感じていた。
「そうね……ここは申し訳ないけど、ミテイ達に頼む? あの子達は今、カスカベにいるはずだけど……」
「う、うん……そうするしか……」
「あの……」
「……?」
ジサンが遠慮気味に口を挟む。
「トウキョウは無理ですが、チバにならすぐにでも行けますが……」
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