31.おじさん、優勢配合する


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 ■フレア ランクQ(ユニーク・シンボル)

 レベル:90


 HP:2000   MP:1000

 AT:500    AG:500


 魔法:マギ・フレア、ピュア・フレア、メガ・ヒール

 スキル:精霊の歌

 特性:応援

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 フレアは小型の妖精。赤いワンピース型のドレスを身に纏っている。


「きゅぅうう」


 人の形をしているが言葉は発しないようだ。


(……よろしくな)


「きゅぅん!」


「あらあら……お可愛い……」


 サラが恨めしそうな目でフレアを見つめながら言う。


「きゅっ!!」


「こらこら……」


 気分がいいのかジサンは窘めるようにサラの頭をぽんぽんとする。


「はわっ、はわぁあああああ!」


(さて……)


 フレアにはひとまずBOXに入ってもらう。


「それでは早速、行ってみましょうか」


 ダガネルが言う。


「あぁ……!」



 ◇



「……っっっ!!」


 エレベーターから降りるとすぐに牧場全体を一望することができた。


 その光景にジサンは忘れていた何かを思い起こされるような気持ちであった。


 モンスター達が草原や森、岩場、川、海辺でいきいきと過ごしている。

 一部はくつろぎながら紅茶でも嗜んでいる……


 美しく、ファンタジック、そして少しばかりノスタルジックな光景がそこにあった。


「どうです? オーナー……」


 ダガネルが尋ねる。


「…………悪くない」


「ふふ、素直じゃないですね……ちなみに上階3階層のオーナーの方は週1回に限り、パーティの方と共にワープにて、このダンジョンに来て、その後、元いた場所に戻ることも可能です。なので、ぜひ足を運んでくださいね」


「本当か……!?」


「本当ですよ」


 ダガネルがニコリと笑う。


(……!)


 リアル・ファンタジーの交通手段は主にバスが主流だ。それも長距離バスはほとんどないため、乗継が必要であり、移動にはそれなりの時間を要する。そう考えると、破格の条件であった。


 ジサンが言葉を失っていると、羽ばたく音が聞こえてくる。


「ガゥ……」


「おぅ……」


 近くにいたナイーヴ・ドラゴンがジサンの元へやって来たのだ。


「ガゥガウ……」


「ん……?」


 ナイーヴ・ドラゴンが何かを訴えかけるように唸っている。


「マスター……どうやらナイーヴ・ドラゴンはもっと強くなってマスターのお役に立ちたいようです」


(今でも十分……)


 ……そうだ。ナイーヴ・ドラゴンはレベル限界に到達したのであった。

 今でも十分、役に立っている。だが、これ以上の成長は望めない。


 ジサンは何となくどんよりとした気持ちになる。


「それなら早速、優勢配合施設の出番だね!」


「!?」


 傍らにいたダガネルが言う。


「優勢配合施設なら、そのドラゴン君も元の姿から大きく変わらずに強くなることができるかもしれないよ」


(……なるほど)


「だが……」


「それは大丈夫です! マスター! 私達は全部、覚えていますから……!」


 サラが先読みする。


「……!」


 実のところ、ジサンは近頃、配合をあまりしていなかった。


 モンスター一体一体に対しての愛着がそれを邪魔していたのだ。


 配合をすると元のモンスターはどうなってしまうのか……


 サラも何となくそれに気づいていたのだ。


 そしてこれを機会にジサンの勘違いを是正する。


「…………やってみるか? ナイーヴ・ドラゴン?」


「ガゥ……!!」



 ◇



「優勢配合も配合後のランク法則は通常配合と同じでいいと考えていいか?」


「そうなります!」


 つまり、ナイーヴ・ドラゴン(Nランク)と掛け合わせる相手がランクO以上であれば、確実にOランク以上のモンスターが生まれるということだ。


 ジサンは頭の中を整理するようにメモをしながら確認する。


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 ABC・・・NOPQR・・・


 ①Nランク×Nランクの場合

 ┝89%の確率でNランク

 ┝10%の確率でOランク

 ┝1%の確率でPランク

 ※同ランク、ランクアップボーナスあり

 ※Qランク以上は非常に小さいため便宜上、ゼロとする。


 ②Nランク×Oランクの場合

 ┗100%の確率でOランク

 ※NとOの間のランクがない時は上のランクのOになる


 ③Nランク×Pランクの場合

 ┗100%の確率でOランク

 ※NとPの間のランクとなる。②と比べると勿体ない。


 ④Nランク×Qランクの場合

 ┗100%の確率でPランク。Qランクから下がるのが勿体ない。

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 ナイーヴ・ドラゴンのランクを上げることを目的とすれば、③と④は相方のランク以下のモンスターとなってしまうため、②Nランク×Oランクが最も確実で効率的であるとジサンは考える。


(今、手元にいるOランクは……)


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 フェアリー・スライム   ランクO

 ライトニング       ランクO

 ギダギダ         ランクO

 ドミク          ランクO (ユニーク・シンボル)

 デス・オルカ       ランクO

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 ジサンはユニーク・シンボルが配合できないのは確認済みであった。


(となると早速ではあるが、デス・オルカかな……巨体同士でいい感じになるかもしれない)


「それでは、ナイーヴ・ドラゴンを優勢素体にして、デス・オルカと配合します」


「ガウ」

「グルゥウ」


 ナイーヴ・ドラゴンはどこか誇らしげだ。


(……意思は継がれるというが、少し寂しくもあるな……お前……ランクアップしたらポジティヴ・ドラゴンとかになるのか……?)


「では始めます!」


「ワクワクしますね! マスター!」


「……あぁ、そうだな……!」


 二体のモンスターが混ざり合い、眩い光のエフェクトが発生する。



[デリケート・ドラゴン(ランクO) が生成されました]



「がぅぅぅ」


(…………)


 BEFORE

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 ■ナイーヴ・ドラゴン ランクN

 レベル:60(MAX)


 HP:1392   MP:0

 AT:640    AG:257


 魔法:なし

 スキル:剛爪、クリムゾンブレス、体を休める

 特性:純粋、飛行

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 ↓↓↓


 AFTER

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 ■デリケート・ドラゴン ランクO

 レベル:60


 HP:1520   MP:0

 AT:720    AG:375


 魔法:なし

 スキル:繊爪、千砕、クリムゾンブレス、体を休める

 特性:過敏、飛行

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 ランクアップおめでとう! デリケート・ドラゴン!



 ◇



 その晩、ジサンは初めて掲示板に書き込みをする。


 ===モンコレ板=======================


 112 名無しさん  ID:hg9aj9ws

 テイマーの皆さんに朗報です。

 チバのファザー牧場跡地にモンスター牧場なる施設ができたようです。

 とても便利です。


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