18.おじさん、おやじ狩りにあう
==========================
■ゲンコツ・ゴリラ ランクG
レベル:25
HP:648 MP:0
AT:150 AG:60
魔法:なし
スキル:拳骨、なぶる
特性:剛腕
==========================
(……ランクGか。確かにトウホクやホッカイドウに比べるとレベルが高いな)
とはいえ、流石にカスカベ外郭ダンジョン92階層という地獄で暮らしていたジサンの相手ではなかった。
開幕こそ、その拳骨をフェアリー・スライム目掛けて見舞ってきたが、フェアリー・スライムは特性:液状化により物理ダメージを大きく軽減できる。
おかげでダメージ量としてはごく僅かであった。
フェアリー・スライムは反撃とでも言うようにスキルの”まとわりつく”でダメージを与えつつ、動きを封じた。
残りはジサンの通常攻撃で無事にテイムが成功した。
◇
続いてジサン達はキリンの元へと向かう。
「楽勝でしたね! マスター!」
「あぁ……おかげでな」
==========================
■ヒカリ・キリン ランクK
レベル:35
HP:828 MP:1121
AT:100 AG:197
魔法:なし
スキル:閃光、光雷
特性:背信
==========================
キリンはサラが瞬殺(寸止め)した。ジサンは再び、テイム武器を振るうのみであった。
「っ!! マスター……! お褒めに預かり光栄です!」
サラはいつものように大袈裟に反応する。
モンスターそのものはすぐに倒せたが広いパークを移動する方に時間が掛かった。
パークは東と西に分かれており、ゴリラは東エリアの果て、キリンは西エリアの果てにいたのである。
順番通りに倒す必要あるようで、次のゾウのところに行くためには再び、東エリアに戻る必要があった。
(ふぅ……面倒だが、戻るか……)
◇
ジサン達は東エリアに戻るため、西エリアから東エリアをつなぐ蛇行した一本道を歩いていた……
「……マスター」
(…………)
ジサンは周りを数名の人間に囲まれていることに気付く。
一本道の外側の茂みから、まるで四角い網を張るかのように待ち伏せしていた四人の男達が出てくる。
「こんばんはーー」
「あっ……ども……」
ジサンは挨拶されたものだから、反射的に返事をしてしまう。
「あっ……ども……だってよぉ! 呑気なもんだなぁ!」
「ひゃはははははは」
(っ……!)
ジサンは少し恥ずかしくなる。
「おっさんとガキだ」
「ガキの方、小さいけどめっちゃかわいいやん」
「お前、ロリコンか?」
「何だ? この羽根つきスライム」
「もしかしておっさん、テイマーか?」
「うっは、おっさん、いい年してモンスターごっこすか?」
(……っ)
男達は余裕ありげに会話をする。
サラはジサンの陰に隠れるようにして、ジサンにしがみつく。
(っ!! サラが脅えている? ……うわ……やべえな。この人達、めっちゃ強そうだ)
ジサンは焦る。
(最悪、サラだけでも何とか……いや、むしろサラは大丈夫か……俺よりもずっと強い……)
その大魔王が
ぐへへ、マスターに甘えるチャンス到~~来!
などと喜んでいるとは、ジサンは考え及ばなかった。
(……さて、どうするか……)
ジサンが本気で焦っていたその時――
「止めなさい! 君達」
後方から凛とした声が夜の小道にピシャリと響く。
そこには一人の少女が仁王立ちしていた。
彩度ゼロの黒白灰で構成された装備は夜の暗闇では目立ちにくい。
身長は160センチくらい。少しつり目がちだが大きな瞳。美人ではあるが、どこか幼さも残している。
ボブスタイルの髪色も黒であるため、額に付けた三日月のようなプレートだけが目立っている。
「あ゛っ!?」
男の一人が止めに入った無謀な女を威嚇する。
「てめぇ、何者だ!?」
「って、おい……あいつ……」
男の中の一人が気付く。
確かにその顔は全プレイヤーに晒されていた。
魔王三体の討伐に関わった超トッププレイヤーの一人。
「お、お前は……月丸隊の勇者……ツキハぁ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます