満身創痍で椅子に腰掛ける金色の天使。


 じっと見つめているうち、彼女の身体中にあった傷は少しずつ癒えていった。




 私の背後から、誰かが迫ってくる気配がする。


 振り向こうとしたその瞬間、私の両側を二体の天使がすり抜けていった。


 彼女たちは椅子に腰掛ける天使に近づき、何かを語っている。


 何を言っているのか知りたくなり、私もそばに近寄ってみた。


 すると、椅子に腰掛けた金色の天使が私を睨み据える。


 私はその目の力強さに恐れ慄き、膝から崩れ落ちるような形で身を屈めた。


 地面につくほどに額を下げているが、未だあの恐ろしい視線を感じる。


 ただただ、何もされずに時間が過ぎ去るのを待った。

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