第60話 元カノ、メンヘラ化。もう、逃げられなくしてあげる。

ーーー本当に夢のような2日間だった。

部屋の片隅で静かに眠りについたのは、いつぶりだろうか。


期末テストも相まって、俺の睡眠時間は少なく、ライブ前日も4時間ぐらいしか寝ていなかった。

睡眠が幸せだと思ったのも、ここ最近で有闇化現象に陥っていた俺にとっては、至高のひと時といっても過言ではなかった。


ゆっくりと目を閉じると、気が抜ける。

その瞬間、ベッドに吸い込まれていくかのように、体が沈み込み、眠りにつく。


そういえば、最近は夢を見なくなった。

夢は何か自分自身の気持ちが形となって、生まれる言うが、それもこれも、心に余裕がある人が見るものであって、多忙を極めている今、心に余裕なんて持てなかった。


「兄ちゃん起きて!!」


深夜一時、俺の部屋に木葉の大きな声が響いた。


「近所迷惑も考えてる、、、?」


「そんなのいいから!」


強引にリビングに連れて行かれると、そこには倒れた愛実が。


「あ、、、お兄様が、、、み、、た、、い、、、」


「愛実ちゃ〜ん。お兄様ですよ〜」


「抱きつきたい、、、!」


「えいっ」


「おい!」


突然リビングに連れて行かれた挙句、俺に愛実を押し倒した感じの体勢になる。


「あ、うん、ごめん」


「なんで謝るの!?」


正直、早く寝たかった。


「それで、本当は別の用事なんでしょ」


「よく気づいたね!流石お兄様!」


「で、なに?」


「美鶴ちゃんが、、、いなくなっちゃって、、、」


「は?どこにいったの?」


「それがわからなくてさ、、、」


それって、かなりやばくないか、、、?



★☆★☆★☆★



深夜2時を過ぎた頃、俺は外へ飛び出し、近辺を走り回って、探した。

俺、、、体力無さすぎ、、、!


足が言うことを聞かない。


自分が思っていた早さよりも、何百倍も遅かったこともあり、足元が狂う。

深夜だということもあり、叫んでは探せない。


真っ暗な道をひたすら走り回る。


「あっ、やっぱり探しに来たんだ」


「お前、、、」


「うちにいるから」


俺は走り回っていると、道路のど真ん中に一人の女子高生が立っていた。

そう、夏美だった。

不気味な笑顔を浮かべ、こっちを見ていた。


「てか、そんなところで何してんだよ」


「和也くんが悪いんだよ」


「は?何言ってんの?」


若干キレ気味の俺に、食ってかかるように言う夏美。

俺が手に持っていた懐中電灯の光が若干当たり、目元が光る。


「とにかく、美鶴ちゃんを返せよ!」


「じゃあ、うちに来てもらう」


「、、、」


この場に連れてくることは不可能に近いと感じた俺はついていくことにした。


「どこいってんだよ。お前の家はこっちだろ」


「引っ越したの。一人で」


「親が許すとは思わないけど」


「親、死んじゃったから」


「え、、、?あ、それはごめん」


そして、そこから10分間沈黙が続いた。

真っ暗な道を、ひたすらに歩く。

そして、見知らぬ一軒家にたどり着いた。


そして、自室らしきところに連れて行かれた。


「で、どこにいるんだよ」


「クローゼットの中」


開けると、そこにはドラマやアニメでよく見たことのある、口が布で塞がれていて、手首と足首をロープで拘束していた。

その瞬間、怒りが込み上げてきた。


「連れて帰るから、何かロープを切るものもってこい」


「そんな、簡単に返すわけないでしょ!私の気持ちも考えてよ!」


「何いってんだよ!浮気したのはお前だろうがよ!」


「なんでそれを、、、」


俺はまず、口元に付いている紐を引きちぎる。

そして、その瞬間、俺の視界は突然天井に向いた。


「美鶴さん、、、だったっけ?見ててよ、、、今からやるから」


「それだけは、、、!本当にやめて!」


上半身にきてたパーカーを脱ぎ始める。

そして、下着姿に下に来ていたスカートも外した。


俺の手首をロープで机の足にくくりつけ、俺を拘束した。


なんでこんなにも、力が弱いんだよ、、、。


「もう、、、逃げられなくしてやる、、、!和也くんは私の物だ!!!」


俺は体を必死にねじって、抵抗する。


「やめろ!マジで!!!」


夏美は止まらない、必死に俺体を固定しようとする。


「有名配信者から、彼氏を寝取ったって、自慢できちゃうなぁ〜」


真っ暗な部屋の中、俺と夏美の攻防戦が始まった。

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