第47話 女子高校生

「死にたい、、、」


ほのかに暑い、春の気候。

そして、移動距離の無駄に多い、挨拶回り。


道中、独り言をポツリと漏らしてしまった。

誰もいない道を、ひたすら歩き回り、時には電車なども使いながら、挨拶回りをしていく。


ーーーさっきの高校で、30分使うのは考えていなかった、、、。


校長の話が長く、5分で終わることを、30分かけ、予定は大誤算をしていた。

校長の特徴なども、後世に伝えるべく、資料でも作ってもらおうかな。

もちろん、仕事を頼むとしたら、書記だろう。


そして、学校には色々な地形があり、都会のど真ん中に建っている学校もあれば、山の中に建っている学校もある。

山に建てられている学校は、校内も坂道が多く、廊下に階段がつけれるほど。


足裏の筋が、歩くたびにプチプチと切れているとうな感覚がする。

痛い、と言うか、気持ちがわるい。


普通に歩きにくい。


流石に足が棒になりそうだったので、一休みにとある学校のベンチに座った。

空を見上げ、一息つく。


生徒会をひっぱっていかないといけない人物として、前副会長、いや、初めて先輩と呼べた、大切な人。

そんな人の期待を裏切りたくなかった。


安心して、大学に通えるように。


遠くでは、部活の最中なのか、吹奏楽部らしき人たちが楽器を運んでいる。

楽しそうな声が聞こえてくる。


なんか、それを聞いて悲しくなってきた。


ーーー青春、したかったなぁ、、、。


自分が学生だと言うことを、完全に忘れてそんなことを思っていた。


そして、再び空を眺めた。


「きみぃ〜こんなところで何をしているのかな?」


俺が正面を向くと、そこにはこの学校の生徒だと思われる、制服を着た女性が立っていた。

よく見ると、自分と同じ、三年生のような雰囲気を感じた。


「誰ですか、、、?」


「まぁ、そうなるよね。あはは、自己紹介がまだだったね。私の名前は【白井しらい 華乃はなの】。女子バレー部のキャプテンやってるよ!」


「そうですか、俺の名前は北条和也。この学校には、挨拶回りで来ている、生徒会長です」


「え!?生徒会長なの!?全然見えない、、、」


「よく言われます、、、あはは」


軽い会話を交わし、彼女は俺と同く、空を見上げた。

さっきとは、打って変わって、爽やかな風が俺たちの隙間を流れていった。

何かを察しさせるかのように、そして何かを思い出させるかのように。


過去の記憶がふと流れる。


あの、倉見神社で言った、あの一言。

運命的に、美鶴と言ったことが被ったあの瞬間を思い出した。


「話たいことがある」


俺はそう言って、彼女に視線を向けた。





★☆★☆★☆★





「会長、俺風邪っぽいので帰ります」


「了解」


「「「お疲れ様で〜す」」」


鼻をすすりながら、優斗は帰って行った。

生徒会メンバーには、俺の失態や、激務で迷惑をかけている。

それのせいで、睡眠があまり取れなく、免疫力が下がったのだろう。


内心、申し訳なく思った。


「みんな、今日はもう帰っていいよ」


「え?なぜですか?まだ、業務が残ってるんですけど」


「俺一人でやっておくから。大丈夫」


申し訳ない気持ちが表に出た。

そして、俺以外のメンバー全員が、鞄に荷物を入れ、帰っていった。


「よし、頑張るか」


キーボードに手を添え、業務に取り掛かった。

まずは、優斗に任せようと思っていた、各校長の特徴や取り扱いの方法などの、取説のようなものを書いた。


気が狂いそうなほど多い、この校長の特徴資料製作には、かなりの時間を要した。


次は、会計の予算案の計算をパソコンで行なっていく。

表にまとめ、後は機械でやるだけだが、表に打ち込む作業が、とてつもなくめんどくさい。

テンキーを使いこなせていない、俺からすると、地獄のような作業だった。


そんな作業をひたすら続けること、2時間。


「やっと終わった、、、」


机に額をつけ、全力で疲労を表す。

疲れた、と言うよりも、自分の嫌いな作業をずっとしていたせいか、精神的ダメージの方が大きかった。


そして、外を見ると、すっかり日が沈んでおり、それに絶望しながら帰路を辿った。


「これが春休み中続くのか、、、」

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