3章 前半

第46話 エンターテイナー

これでも、エンターテイナーな方だと自分では思っている。

『誰かを喜ばすことをしたい』と決めたら、それに向けて、全力で取り組む。

人気配信者になったきっかけと言ってもいいと思うし、この気持ちを大切にしないと、やっていけない職業だと思っている。


体育祭的なことを行うと、聞いた時、ある一つのことを思いついた。


ーーーサプライズで何か出来るんじゃね?


と。

それから、有闇さんの許可も無しに、社長に連絡を取った。

そして、俺が天才配信者と崇められた八剣健斗だと言うことを告白した。


電話越しでも伝わる、あのパニック状態に陥った時の、人の反応。


ひっきりなしに「え?」と言っていた。


整理がついていないのだろう。


『これ、皆さんには言わないでもらいたいんですけど、、、』


そこからは、社長と色々と話たいことがあったので、事務所の近くの喫茶店で話をすることになった。


無論、交渉は成立したが、その後の俺の話を聞く社長の顔は、有頂天に達した時の顔をしていた。


「もちろん、それでいきましょう」


「じゃあ、よろしくお願いします」


こうして、俺と社長の二人だけのプロジェクトが幕を開けた。


イベントまでの期間は後2ヶ月。

5月の下旬に行うらしい。


さぁ、天才配信者の力を見せてやろうじゃないか。


久しぶりに、本気と言うものを出そうとする、俺。

目にはハイライトが入った。




★☆★☆★☆★




学校は終業式を迎え、春休みに入った。

誰もが楽しみにしていた春休み、今年の春休みは3週間程度。

いつもよりは、少し長めの休みとなった。


しかし、、、。


「生徒会があるんですよねぇ、、、」


ここにきて大後悔。

生徒会室には、俺だけがいており、他の生徒会メンバーは外に出て、挨拶回りをしている。


そして、明日と明後日は、俺が一人で近隣の高校を周り、挨拶をしなければならない。

その数、約40校。


謎にここら辺、高校多いんだよなぁ、、、。


言っても、高校同士の距離が近いわけでもなく、隣の市などにも行ったりすることが多い。

そういう訳で、移動距離がとてつもなく遠いせいで、生徒会長初めの洗礼だと聞いたことがある。

前会長も『あの時は死ぬかと思った』と人の気持ちも考えずに、そんな発言をしていたのが、頭の隅に残っている。


生徒会長になったことは、後悔していないが、これは、、、ねぇ、、、?


「とりあえず、Tmitter運用」


現在のフォロワーは4000人。

最近は、軌道に乗っており、順調にフォロワーもインプレッションも増えてきつつある。

この調子でいけば、目標達成も夢じゃないかもしれない。


スマホ片手にニヤニヤする俺。

ちょっと、Tmitter運用が上手いだけで、すぐに調子に乗る。

俺の悪い癖がここにきて出てしまった。


男子特有のアレの一人である、自分に、少しの呆れを感じた俺であった。

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