第42話 根性の定期テスト【前半】
いつも通りの真っ暗な部屋、久しぶりに携帯に電話がかかってきた。
画面を見ると【マネージャー】と書かれている。
「もしもし」
「再開の話なんだけど、、、」
「俺は何度も言いましたよね?活動はもうしないと」
「休止っていうのが、嘘になっちゃうよ」
「止めるなんて言ったら、逆にネットで騒がれるじゃないですか。俺はネットが大好きなんです。居場所を失いたくない」
勢いよく、電話を切った。
今月で5度目の電話だ。
俺の復帰は誰もが望んでいることなのは理解している。
そして、復帰したら、またあの生活が始まるのかと恐怖を感じる。
結局、俺は俺であり、自分が1番だと考えている面がある。
自分を粉にしてまで、人のために尽くすのは馬鹿馬鹿しいと思ってしまう。
人の為に動ける人は、心の底から尊敬をしている。
自分にメリットがない可能性だってあるのに、自分がデメリットしかない行動をする。
俺には到底考えられない。
「裏方、今日もお願いできる?」
「あ、うん」
1時間後に配信が開始する。
それまでに、俺はパソコンで色々と、プレゼン資料などの作成に取り組まなければならない。
生徒会長になったせいか、近頃寝不足が悪化した気がする。
まぁ、有闇さんまでにはならないけど。
あのクマの酷さは、努力に値するものなのだろう。
昔の俺の、寝不足の一番の原因は、深夜まで音ゲーをやっていたり、レベル上げをやっていたりなどの、個人的な趣味での寝不足だった。
『人生が充実している』と言っていいのか、悪いのかは知らないけど、リアルでの用事が増え、肉体的なしんどさも出てきた頃だ。
「よし、頑張るか」
根性も振り絞って、キーボードに手を添えた。
★☆★☆★☆★
「学年末テスト、あと一週間後だけど、大丈夫?」
「え?本当?」
「嘘つくわけないじゃん」
「高得点出さないと、怒られちゃうな、、、生徒会長だし、、、」
家の学校の主要教科は11教科。
そして、今回取らなければいけないのは990点以上。
故に、全教科90点以上が必須となる。
正直なところ、ほぼ諦めかけている。
地頭がいいわけでもない俺は、いつも定期テストは赤点上等。
時々、全教科回避するときもあるが、それは前日にノートを見返すという、超単純なことをしただけ。
高得点の取り方も、取ったこともない俺からすると、無理難題極まりない。
「勉強?別にいいけど」
てな訳で、前会長に相談してみた。
流石に、学年一位の成績を有す、彼女の言葉には、重みを感じた。
「絶対に、高得点、取らせてあげる」
「マジか」
「はい、じゃあ、学校の課題全部5周して、3日後に私に持ってきて見せて」
「え?五周?」
「当たり前。私は10周以上して、別の問題集を3周して、いつもあの点数。実際は30周ぐらい解いて欲しいけど、時間ないしね」
タイミングが悪い。
今までの俺なら、逃げ出しているところだった。
しかし、脳には前副会長の顔や讃良議の顔が浮かぶ。
ーーーやればいいんでしょ、、、。
若干、面倒ぎみに問題を解き始めた。
Tmitterをやる時間を、全て勉強に回さないと、この量は終わらない。
そして、問題集もやる時間を考えると、それだけでは終わらない。
「本気出すか、、、」
それから、俺の勉強生活が始まった。
毎日8時間の勉強、6時間睡眠。
授業中の内職も含め、かなりの時間を勉強に当てた。
一週間、気が狂いそうなほど勉強をした。
いや、気が狂っていたら勉強が続けられたのかもしれない。
そして、予定より1日早く課題が終わり、問題集もテスト2日前には5周を終わらした。
『規則正しい生活を送るのが、基礎中の基礎』
そう教えられた俺は、毎日11時に寝て、7時に起きるという健康的な生活を身につけた。
朝起きると、英単語の復習や漢字の復習から始まり、登校中には文法の勉強。
そして、四字熟語や二字熟語の勉強や、ことわざなどの暗記系。
歴史の年代暗記や、地理の地名暗記などもした。
化学の周期表を丸暗記したり、基礎的なインプットから、応用問題まで使えるものまでやった。
『数学は理由を考えるの。じゃないと、証明問題なんて解けない』
そして、テスト当日が訪れた。
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