第41話 検討に検討を重ね、現実的に検討を加速させます。
「ねぇ、、、大切な話があるんだ、、、」
「どうしたの?」
19時頃。
あたりはすっかり日が沈み、遅めのイルミネーションに包まれるショッピングモール。
現在地はショッピングモールの最上階のレストラン。
穏やかな風が吹き、1月の凍えるような寒さを忘れさせてくれるかのような風。
美鶴がやけに真剣そうな顔をした。
「私のこと、、、好き、、、?」
ゆっくりと、こっちを向き、上目遣いで聞いてくる。
「す、好き、、、だけど、、、」
「じゃあ(仮)外せる?」
「それは、検討する」
「わかった、なるべく早くね?検討をしっかりと、加速させてね?」
「うん、検討に検討を重ね、現実的に検討を加速させるね」
どこかで聞いたことのあるセリフでの会話。
そう、これは至って真剣な話。
「(仮)ってなんでつけてるの、、、?」
「それは、、、」
俺は元々、異性が苦手だった。
自分が何か言ったら、泣いてしまう可能性があるし、それで大人に怒られるという危険性を秘めているからだ。
この生涯で、可愛いなと思った人は2人しかいない。
それ以外の女性は、深く関わろうとしなかった。
今でも怖いものは怖いが、深く関わることによって、対処方法や人間性がわかってきた気がした。
しかし、対処方法がわかったところで、咄嗟にその判断ができるわけではない。
「俺は、、、怖いんだよ、、、」
「え、、、?」
「異性と関わることに、恐怖を覚えている。昔から、そうだったような気もするけど、この前の一件で全てが重症化したような感じもする」
「じゃあ、みんな忘れさせてあげる。全部、今までとは違う世界を見せてあげる。楽しくて、明るい世界を一緒に作っていきたいな♪」
あぁ、美鶴ちゃんはこんな人間だったな。
無意識に、安堵のため息が口から溢れた。
★☆★☆★☆★
結論は引き伸ばしにすることになった。
その後は、ゆっくりご飯を食べて、帰宅。
途中、駅などで警察に補導されないか、心配したが、そんなことはなかった。
「「ただいま〜」」
「おかえり〜ご飯できてるわよ〜」
家に帰ると、母は晩飯を作っていた。
「あ、ごめん。食べてきた」
「あら、それは残念ね〜」
「ごめん、明日の朝食べるよ」
「冷蔵庫に入れとくからね〜」
ふと、ついているテレビを見ると、そこにはニュースが流れていた。
殺人事件や、強盗事件など最近はそんなニュースしか見ていない。
日本もここまでいたか、、、。
『え〜検討に検討を重ね、現実的に検討を加速させて参りたいと思います』
どこかで聞いたことがある言葉を、本日二度聞いたことになる。
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