第40話 久しぶりに二人でいようよ!

「ショッピングに行きます!」


「うん」


「二人で!」


朝から謎のテンションで、ショッピングに行くことになった俺と美鶴。

先日のモヤモヤが今も残っており、ゆっくりと寝ることができない。


今日は学校の創立記念日で、学校が珍しく休校になっている。

なので、生徒会などもない。


完全にフリーの日が出来たってわけだ。

そして、行き先は少し遠くのショッピングモール。


「七香ちゃん、お疲れ様〜」


「応募ページ作るので、手一杯なんですけど!(怒)」


「ごめんって〜」


「サーセン、、、」


頭を下げて、車に乗り込む。

有闇をもはや、専属の運転手のように使う美鶴。

苦笑いを浮かべ「まぁ、いつも通りか」と、若干の安心感を感じる。


「私も彼氏欲しいですね〜!」


嫌味っぽく、運転しながら叫ぶ有闇。


「作れば?」


「こんな、ブラック会社の激務をこなしながら、恋愛なんて出来るわけないじゃないですか!美鶴さんも、私の仕事手伝ってくださいよ!」


「私だって、配信頑張ってるし、グッズ案の会議にも参加して、案出してるし」


「その会議、私も参加してます!」


「まぁまぁ、落ち着いて」


車の中では超激戦が繰り広げられていた。

プライベートで呼び出すな!と言いたい気持ちは凄くわかる。生徒会に入ってつくづく感じた。


「わかったって!帰りは電車で帰るから!」


「言いましたね!勝手に帰ってくださいよ!」


討論が激化していくのをただ呆然と見ている俺は、早く着いてくれと願うことしか出来なかった。

陰キャがこんな喧嘩、止めれるわけがない。

ただでさえ、誰かとの喧嘩の経験が少ないというのに。




★☆★☆★☆★




「じゃあ、私帰りますからね!」


「じゃ、またね〜」


有闇さんの目の下、クマが酷かったな、、、。

絶対にあれは、50時間以上寝てない時の目。

RPG系のゲームを最速でクリアしようとしていた時、3日ぐらい寝ずに何度もチャレンジしたもんな、、、。


過去の記憶が蘇る。

40時間を超えたあたりから、何かが吹っ切れて、眠たくならないんだよな。

※絶対に真似しないでください。


エナドリを飲んでいなくても、いける境地ってものがあって、そこに達すると最強になるというか、なんというか。

※絶対に真似しないでください。


「じゃあ、どこから見て回ろっか!」


ショッピングモールとアウトレットの二つが隣接している、大型のモール。

俺もよくきたりしていた場所だ。


「なんでもいいよ〜」


「あ、その回答モテない人がいうやつだ」


「え!?そうなの!?」


「でも、和也くんには彼女いるし関係ないね(笑)」


「まぁ、、、ね、、、?」


ニコっとした笑顔に思わず、顔がニヤけてしまう。

ーーーか、可愛すぎる、、、!


開始早々、オーバーキルを狙いにかかっているとしか、思えない行動を、自然と行う。


「シャレル行く?」


「早速高級ブランド!」


「私の財布がこのブランドだし?」


「へ、へぇ〜、、、」


レベルの高すぎる話についていけない。

美鶴が持っている財布の推定価格は約20万円。

パソコン一台変えてしまうぐらいの金額に、少し動揺が隠せない。


同じ高校生とは思えない、、、!


俺は1万円の長財布。

配信者をしている時、ファンの人からもらった、大切な宝物。


「うわぁ、、、!凄い、、、!」


結局、中に入ることになった。

見渡す限り、お金を持っていそうな人ばかり。

高校生が入っていい場所ではなさそうだった。


でも、、、。


美鶴が身につけている服は、どれも高級品かつ、センスのいい時代の最先端をいっているファッション。

ここ3年間、ジーンズしか履いてこなかった、ジーンズ依存症の俺からすると、考えられない。


「これとかどう?」


ネックレスを指差し、聞いてくる。

ショーケースに入ったネックレスが、照明により、美しく輝いている。


少し大きめのダイヤモンドらしい。

一個30万円程度。


「いいんじゃない」


「すいませーん!これください!」


「ちょっとまったー!」


「え?どうしたの?」


「即決購入?30万円だよ?」


「和也くんが、いいって言うし、買おうかなって」


「もう少し、考えない、、、?」


「まぁ、確かに!」


危ない所だった。

というか、金銭感覚バグってない?

30万を即決購入しようとするなんて、一般常識からすると、正気の沙汰じゃない。


「もう少し、常識を知ろうね?」


「ん?」

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