第38話 オファー
生徒会室に足を運んだ放課後のこと。
生徒会は俺以外は会長推薦となっている。
生徒会長には【副会長】【会計】【書記】【全体補佐】の4人を選出しなければならない。
そして、このメンバー選びは極めて重要であり、これをミスると、これからの生徒会活動に必要な、信頼を大幅に失ってしまうことになる。
生徒会長席と呼ばれる、本革に包まれた、ふかふかな椅子に座り、頭を抱える。
なぜか、ここに座っていると、歴代の生徒会長に守られているかのような感覚があり、とても落ち着く。
自室のような安心感の中で考えると、考えがまとまるかと思い、しばらく考えていたところ、眠気が俺を襲った。
緊張や、選挙活動などで最近は、しっかりと寝れていない日が続いていた。
咄嗟に、立ち上がり、眠気を覚ます。
健康的な生活を取り戻そうと、俺は夜以外に寝るのをやめた。
「相当、悩んでいる様子だね」
「会長」
「もう、私は会長じゃないし、ただのクラスメイト。敬語もやめていいから」
「なんか、不思議だね」
「そうね、長くこの部屋を使ってないような感じがするわ」
静かな部屋の中、二人は適当な椅子に座り、向かい合う。
「私も生徒会長になった時、すごく迷ったの。当時は1年生だったから、余計に。でも、そんな中、先輩って言ってもわからないか。副会長がこの部屋に来てくれて、アドバイスを出してくれたの。だから、次は私もしないと」
「なるほど、お世話になります!」
「私は当然のことをするだけ、別に私がやりたくてやってるだけだから、そんな気を使わなくてもいいのよ」
黒い髪をサッと、流す。
黒く輝く髪に思わず、目を奪われるところだった。
「まずは、成績よね。成績を第一に考えるのよ」
そして、全校生徒の定期テストのデータを点数の高い順に並べていく。
「次は性格の良さ。人の気持ちがわからない人は、生徒会の人間として失格になってしまうから。死んでも、性格の悪い人は入れないように!」
「死んでも、、、?」
そして、教師への聞き込み調査を行った。
★☆★☆★☆★
流石に、全校生徒の特徴を把握するのには、骨が折れた。
無数に存在する、人の特徴を把握しろなんて、無理難題できるわけない。
「じゃあ、最後に、選出ね。印象の良さそうな人を選ぶの」
「顔写真を見て、決めるってこと?」
「そうよ」
ここまでで、30人程度まで絞ることができた。
顔写真を見て、印象が良さそうな人を探す。
「じゃあ、この4人に決まりね。オファーは自分でやってね」
「はい」
生徒会書記【石墨いしずみ 直人なおと】1年。
書道の全国大会で優勝した経験があるゆえ、字がとても整っている。
そして、成績は優秀で、学年ではいつもトップ10には入っている。
生徒会会計【上山 優斗】2年生。
今回も選出された、学年トップの成績を有す彼。
俺が生徒会長になった時には、絶対に優斗を入れると決めていた。
そのぐらい、信用が厚い人物の一人。
生徒会全体補佐【七条しちじょう 菜沙なずな】1年。
2学期の終盤から入ってきた転入生。
容姿は整っており、絶対音感という、特殊能力付きの才女。
そして、生徒会副会長【大友 勝】。
成績はそこそこ、家がコンビニを経営しており、手伝いとしてレジ打ちをしている。
社会経験は豊富で、どんなことも瞬時に対応できる。
デバイス関係に詳しい。
以上の4人となった。
★☆★☆★☆★
「全部、OKしてもらえて良かった〜」
満を持して出したオファーは全て快諾。
勝に出した時は、目の前で爆笑していたのを覚えている。
『絶対、ネタ枠だろ!(笑)』
と言っていたのが、印象的だった。
「じゃあ、来年度は頑張ってね」
「もちのろん!」
無事、生徒会長最初の仕事を終えた俺であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます