第36話 ここまで、期待されているのだから。
「和也、いける」
「お兄様ならいけるよ!」
「和也くんならいける!」
「は?兄ちゃんが生徒会長になったら、学校に迷惑かけるだけだから。ゴミはとっとと死ね」
「最後のは聞き捨てならないが、それはよしとして、みんなありがと!なんか、自信が湧いてきた気がする!」
家を出る前、生徒会長に立候補している人は、朝一に学校につかなければならない。
あのあと、予定時間が変わり、1、2時間目に再選発表となった。
そして、いつも通り、駅に行き、電車に乗る。
早朝だということもあり、車窓から朝日が入りこんだ。
車窓の隙間から、風がスッと入り込んだ。
風が頬にあたり、春を感じた。
ゆっくりと流れていく、景色に目を奪われ、心が穏やかになる。
さっきまでの緊張を、全て取り払ってくれるかのような、景色だった。
このまま、時が止まってしまえばいいのにな。
心奪われるような、思いを人生で初めて経験した。
★☆★☆★☆★
「校長、スーツ買ったんですね」
「あははっ!気づいたのかね!」
「校長がスーツ着てるなんて、珍しいですからね。大体は、ジャージじゃないですか」
学校の正門に着くと、そこには校長が立っていた。
なるほど、俺が1番についたのか。
周りを見渡しても、誰もいない。
この学校には、俺と校長しかいない。
少し、新鮮な空気を感じ、いつもの学校とは、また違う感じがした。
「じゃあ、軽い質問をするね」
「はい」
「生徒会長になろうと思った理由は?」
「みなさんの期待に応えるためです」
「副会長に、推薦しようと思っている人は?」
「、、、」
そんな感じの質問が約20問程度続いた。
そして、病院で書かされる、問診票みたいなものを持って、校長室へ行き、机に置いて、教室へ戻った。
もちろん、それからは自由。
教室の机でひたすら、スマホでTmitterをしていた。
やっぱり、人とと普通に接せれるって楽しいし、相手と対等な立ち位置なので、話しやすい。
コメントの返信などもしやすいし、キャラなど作る必要がない。
「お、和也じゃん」
「勝」
「今日は、早めに来てると思って、俺もかなり早くに出ちまったよ。今日は、俺も陰ながら応援しているからな!」
「ありがと」
「お、おぉ。そんな素直に感謝されるとは」
「普通でしょ」
「和也の行動は、全て普通じゃないんだよな」
「マジか」
刻々と流れる時間。
二人だけの教室で、ゆったりとした朝を過ごす。
緊張のせいか、どこかもどかしい気持ちになり、ソワソワした。
しかし、時間ははやくなるわけではない。
平等に与えられた時間。
★☆★☆★☆★
そして、発表の時が来た。
現在は体育館の裏にいる。
教師に「名前が呼ばれたら、出てこい」とだけ言われている。
「再選の発表です」
誰もが、目を瞑り、願う。
自分の投票した人への想いを込めて。
自身の学校生活を大きくかえる、そんな重要人物。
「【讃良議
あっ、、、。
その時、俺の目からは涙がこぼれ落ちた。
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