2章 前半

第20話 突然ですが、新企画始動です。

「こんにちは〜」


「北条君、来たのね」


「まぁ、もちろん」


生徒会ライフ1日目、生徒会室に入ると、会長と隼人がいた。

先ほど知った話なのだが、会計の人は家の用事が詰まっており、基本的には生徒会室には来ないそう。

一ヶ月に一度、顔を出すか出さないかぐらいの頻度らしい。


「副会長は?」


「あの人、北条君がいるからって仕事サボりやがったのよ」


「『え?今日の仕事、あいつに任せれば良いでしょ。じゃあ俺は予定あるんで。アデュー!』なんてこといってたよ」


クソ先輩!俺の良心を返せ!

と言いたくなったが、自称自制心の塊である俺は自分を抑えた。


心の中で、隼人が言っていたセリフを言っている副会長が頭に浮かんだ。

想像するだけでも腹立たしかった。


「会長、俺今日、何かやることあるの?」


「別にやることなんてないわ、今日は生徒会室の雰囲気に慣れてもらうだけ。あと、生徒会室では敬語使いなさい。隼人君だって、私に敬語使ってるのだから」


隼人の方に目線を向ける。


「会長が敬語を使わないとこr、、、いや、自分から敬意を持って話させていただいております」


え?今、殺すって言わなかった?

いつも以上にニコニコする会長、正直俺はこれに恐怖感を覚えた。


女性って怖いなぁ、、、。


「殺さないでくださいね、、、」


「殺さないわよ」


「サーセン!そうっすよね!しゃっす!では、俺は帰りますので!」


「「お疲れ様〜」」


生徒会生活1日目。

特に何もなく、後ろから感じる殺気に押しつぶされそうになりながら、帰路を辿った。




★☆★☆★☆★☆★




「ただいま〜」


「おかえり〜」


「うわっ、帰ってきやがった。キモ、帰れ、死ね」


「うわぁ、実の兄に対してそんなこと言うとか、反抗期だぁ。きゃー怖い怖い」


妹とは思えない発言をする木葉に『反抗期』のワードが思い浮かんだ。

しかし、ここでこれ以上言ってしまうと、固技をかけられて、一発KOになること間違えなし。

痛いのは嫌なので、ここで俺は密かに耐えることを選んだ。


「生徒会どうだった?」


「まぁ、別に悪くはないよ」


「兄ちゃんが生徒会か、、、え!?生徒会!?学校終わってるでしょ!こんなやつ生徒会に入れたらどうなるかわからないよ!」


「何故そこまで兄を卑下した言い方をする」


「妥当な評価だと思うけど」


「木葉からの評価低すぎるだろ、、、」


「ま、まぁ、、、!和也くん!頑張ってね!」


俺の心が折れそうな時は、美鶴ちゃんの方を向くのが最近の対処法としてよく使っている。

向くと必ず励ましてくれる。ことごとく、優しい彼女に助けられている。


「ところで、Tmitterで言っていた、生徒会に入るって本当?」


「うん」


「本当に言ってる?多忙を極める生活になるけど大丈夫?」


「私なら大丈夫!」


美鶴の言葉にはやけに熱がこもっており、それに安心感を覚えた。


「まぁ、、、美鶴さんがそこまで言うなら、、、頑張ってみれば良いんじゃない、、、」


いつまでも正直にならない木葉。

この反応には一部の層は好きそうなフレーズだが、俺にはただの応援の言葉としか捉えれなかった。


「あ、七香ちゃんからだ」


美鶴は携帯をテーブルの上におき、スピーカーモードにした。


『お疲れ様です。突然ですが、美鶴さん。新企画始動です』


「「「え?」」」


三人の頭の中には大量のハテナマークが飛び交った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る