第7話 握手会、したくない?
インターネットで配信や動画投稿をする人たちを配信者というが、それは一括りに言っているだけであって、その中でも歌い手、プロゲーマーなどの職業についている人がいる。
俺の彼女(仮)は一応『歌い手』という枠に入るらしく、歌が上手いのは俺も知ってる。
「握手会って、興味ある?」
「突然なんですか?七海さん」
「あと、その『七海さん』呼び辞めれる?これからは『みっちゃん』て呼んで!」
「バカップルみたいなんで嫌です」
「じゃあ『みーちゃん!』」
「いやです」
「じゃあ、、、」
全然、本題に入れない。
いい呼び名を考えようとしているのか、スマホで調べているのかはわからないが、何かスマホでカタカタ操作をしている。
「美鶴ちゃん、本題は?」
「えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!い、今『美鶴ちゃん』って、、、!!!」
「うん、美鶴ちゃん」
「わかったから!うん!あと、木葉ちゃんみたいに、タメ口で話せる?付き合ってるのに、タメ口はちょっと、、、」
「付き合ってるって言っても、仮ですよ?」
「まだそこで止まってたんだ!?」
「いや、付き合ってくださいって言われてないですし、、、」
「あのメッセージから意図が読めないの、、、?」
確かに、あのメッセージは告白だ。
しかし、ラブコメ慣れをしている俺からしたら、何か足りない気がする。
生意気だとは思うが、人生で一度あるかないかの告白はもっとロマンチックがいいと思ってしまう自分がいた。
その告白を女性に求めるなって話だけど、、、。
「とにかく!握手会、興味ある?」
「あるけど、、、」
「聞いた情報によると、元カノが私のファンなんでしょ?」
「そうそう」
「じゃあ、こさせればいいのよ」
「こさせてどうすんの」
「しれっと私たちが付き合ってるところを見せて、、、」
「そんなことしたら、インターネットで炎上するでしょ」
「確かに、、、」
じゃあ、どう復讐するのか。
正直、俺も考えすらついていなかった。
とにかく、後悔させる方法をと思っていたが、考えれば考えるほど、難しくなってゆく気がした。
「ちょっと、私プリン買ってくる」
「いってらっしゃい〜」
意外とタメ口でもいけるものだな。
「兄ちゃん、握手会行くの?」
「なぜそれを!?」
「後ろでずっと聞いてた」
「影が薄すぎて気づかなかったわ」
「殺す!!!」
木葉の必殺卍固めを喰らわされた俺は、身動きが取れない状態でもがき続けた。
そして、10秒でノックアウト。俺はその場に倒れ込んだ。
「握手会は絶対に行く」
「え?」
「だから、質問の回答だよ。絶対に行くって」
「なんで?」
「ちょっと面白いこと思いついた」
「あっそ。ちなみに、私も行くよ」
「え?木葉はくる意味な、、、て、ファンか。いや、待てよ?同居しているんだから、いつでも握手ぐらいできるだろ。てか、この前ハグしてただろ」
突然、木葉は顔を赤くした。
え?俺なんか言った、、、?
「何見てんの!?キモ!!死ね!マジ!」
「わかったわかった。痛いからやめてくれ」
俺の肩をボコスカ殴ってくる木葉に対し、俺は軽く受け流す。
ーーーそれは、今日の朝の話だ。
いつも通り、起きてきた木葉はパジャマ姿でリビングに登場。
そして、寝ぼけていたのか知らないが、朝食をとる美鶴ちゃんに突然なるハグをしていた。
これには俺もびっくり。
本人は抱きついた後、10秒後に目が覚めたのか、その後は顔を赤くしながら「ごめんなさい、、、」と言って、自室へ戻って行っていた。
「今、私にハグを、、、!」
いや、何興奮してるんだよ。とツッコミを入れたくなるほど、荒い息を立てながら固まっていた。
ハグの最中を見ていたが、お互いの胸がむにゅっと押しつぶしあっていたのが確認できた。
最高か、、、?男の俺からすると、そう思うしかなかった。
「兄ちゃん、今キモいこと考えてたから一発殴らせて」
「なんのことだよ、、、」
「制裁!!!!!」
「ア゛ァ゛!!!!」
やはり、実の妹の目は誤魔化せないのか、、、。
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