第5話 今後の方針
てくてくと歩きながら食堂に向かう
歩いていると屋敷で働いているメイドや従僕とすれ違った。するととても美味しそうな匂いが皆から漂っていた。皆同じ匂いではなく甘かったり酸っぱかったり苦かったり、でもどれも不快な感じは無くむしろ恍惚とするような快感がある。
この匂いのせいもあってか朝から感じている空腹感が加速していく、それを感じながら歩いていると食堂に着いた。
コンコン
「失礼致します。サキお嬢様をおつれ致しました」
「入れ」
「失礼致します。どうぞサキお嬢様」
「ありがとう、失礼いたします」
「おはようございます。お父さま、お母さま」
「おはようサキ、話すことはあるがまずは食事にしようか」
「おはようサキ、昨日はよく眠れたかしら」
「うん、よく眠れたよ。ごはん楽しみ」
食べる事に特化したスキル構成なので、それがどのように影響するのか本当に楽しみだ。すでに今朝から、かなりの異常がある。この環境ではありえないほど空腹感を感じていたり、屋敷全体をカバー出来る程の五感と処理能力そこから詳細にイメージ出来る美味しさなどだ。この世界の平均はまだよくわからないが少なくとも三歳児のスペックではない。
あれこれ考えていると、クックパノが料理を運んできた。
「本日のご朝食は春小麦のパン、レッサーオークの腹肉ベーコン、レティスを使用したサンドイッチでございます」
BLTサンドのT抜きみたいなサンドイッチだな。BLサンドか...、薄い本が厚くなりそうだな。この世界の人たちは朝ご飯をしっかり食べる、日本の特盛がこの世界の普通盛りだ。我が家は体が資本という家訓なので大食い選手くらいの量がある。私は幼児なので日本の普通盛りくらいだけどそれでも多い、見た目がコーヒー豆のロゴのカフェのやつで大きさが国語辞典くらいだ。それが2個ある。ちなみに両親は10個だ。
「クックパノの作るサンドイッチはいつ食べても美味しいな、私は特に肉多めが好きだな」
「私はハーブ多めが好きね」
「お褒めに預かり光栄にございます。旦那様、奥様。サキお嬢様はお気に召しましたでしょうか?」
「うん!すごくおいしいよ。特に具材に負けないパンの風味がいいね」
「ありがとうございます、お嬢様。本日のパンは特に出来が良いので嬉しいです」
ピコン♪
「ぅん?」
「どうした?サキ」
「お父さま今ピコンって音が聞こえませんでしたか?」
「いや、聞こえなかったよ。でもそれは世界の音と呼ばれるものだね。」
「世界の音?」
「スキルや称号に変化があるとそれを教えてくれるんだ。ステータスオープンと念じると見れるよ」
「そうなんだ、やってみるね」
ステータスオープン!
__________________
名前:サキ・フォン・リューノ
年齢:3歳 職業:辺境伯令嬢
HP:100 MP:20
エネルギー:500 体重:14㎏
Lv:1
STR:100 VIT:100 DEF:100
INT:100 DEX:100 AGI:100 LUK:50
スキル
・不老・高再生・生殖不可・食鑑定・再現変身・食吸収
・武器武術才能・自己強化魔法・状態異常耐性
称号
・異世界召喚に失敗したもの
・神の友人
・食欲を満たせぬもの
・全てを喰らうもの
NEW
レッサーオーク2%
コムギ2%
レティス2%
__________________
なんか全体的にステータスが上がってるな
MPが上がっているのは食吸収が影響してそうだし、新しく出た項目は再現変身に関わってるやつで100%になったら変身できるのかな?
おそらくサンドイッチ2個で2%なので合計で100個食べるのか。称号の影響なのか全然満腹にならない、むしろお腹が空いてきた。この感じだと100個食べれそうだな、クックパノに頼んでみるか
「何かわかったか?」
「うん。ステータスが大きく上がっていたのと、今食べた物に使っていた食材の名前とどのくらい食べたのかがあったよ」
「たぶん、あと98個食べたら何か変わるかも」
「98個...、それは確認に時間がかかりそうだな」
「お父さま、食材さえ間に合えば今すぐ確認できますよ。称号のえいきょうだと思うけどお腹がいっぱいにならないの。むしろずっと空腹なのよ」
「そうか...古い記録の通りだな」
「古い記録?」
「いや...後で話そう。それよりクックパノ食材はあるか?」
「えっえぇ、少し時間を貰えれば用意できます。出来次第お持ち致しますね」
「クックパノ、お願いね」
さて、クックパノが厨房に行っている間に少し考えるか。
さっき100%になったらと言ったがおそらく50%で何かしらの変化があると思う。再現変身で部分変化かな食吸収スキルで魔力を吸収しても合計で2千、量としては多いけど一回の変身でどのくらい消費するのだろうか?正直今の状態だと採算が取れないな。サンドイッチ1個500gとして100個で5㎏食い溜めで体重が増えるので合計体重19㎏現時点で一食5㎏で1日15㎏、いくら我が家が貴族で金持ちでも食費に大量の予算は当てられない。どうしたものか、鑑定スキルを活かして冒険者ギルドで働こうかな、自分の食い扶持は自分で何とかしたいが両親的には大丈夫なのか相談したいな。
あれこれ考えているとクックパノがサンドイッチを持ってきた。50個はありそうだな、美味しそうな匂いに小さくお腹が鳴った。
「わー美味しそう!」
「お待たせ致しました、サキお嬢様。かなりの量になりますが味に変化はお付けしますか?」
「ありがとう。でも確認したいこともあるしこのままでいいよ」
「承知致しました。では私は引き続き作って参ります」
「サキは何か確認したいことがあるのか?」
「うん。1個当たりの魔力量と食材ごとの値の増え方を見たくて」
「ふむ...確かにスキルの検証は早い内からやった方がいいな。いざという時に生死を分けることになる、気のすむまでやると良い」
既に食べ始めていたので父の言葉には頷きで応える。かなりのハイペースで食べ進めるが精神は成人済みなので上品さを忘れずにガツガツ食べないようにする。
20年以上男をやっていたので今から令嬢の練習をしてないとボロが出そうだ。
気をつけながら50個目を食べ終わると予想通り世界の音が鳴った。
ピロン
さて、ステータスオープン...確認してみるかな。
__________________
名前:サキ・フォン・リューノ
年齢:3歳 職業:辺境伯令嬢
HP:100 MP:500
エネルギー:1万 体重:16.5㎏
Lv:1
STR:100 VIT:100 DEF:100
INT:100 DEX:100 AGI:100 LUK:50
スキル
・不老・高再生・生殖不可・食鑑定・再現変身・食吸収
・武器武術才能・自己強化魔法・状態異常耐性
称号
・異世界召喚に失敗したもの
・神の友人
・食欲を満たせぬもの
・全てを喰らうもの
レッサーオーク50%(部分再現可能)
コムギ50%
レティス50%
__________________
ふむ...エネルギーすごいな100個食べたら2万いくぞ。そもそもエネルギーってなんだ、カロリーってわけでもなさそうだしこの世界であちらの物理法則が通じるなら物質=エネルギーが成り立つから何かしらの物質を生み出せそう。魔力は今の所食吸収でしか取れてないので再現変身にしか使えない。レベルが上がれば自前の魔力が増えそうかな。
後はレッサーオークが部分再現可能になってるな。どんな感じに部分再現出来るんだろう?実際にやってみたいけど100%の時に使う魔力が無くなったら困るから後で確認するかな。
「お嬢様残りのサンドイッチをお持ち致しました」
「ありがとう、クックパノ」
さてと、残りのやつも食べちゃうかな。さっき50個食べたばかりだがもうお腹が空いている。食べた実感もあるし満足感もある、でも常に空腹を感じる。実際に空腹だし、パクパクと食べ進め10分ほどで食べ終わる。
よし、ステータスを確認してみるかな。ステータスオープン
__________________
名前:サキ・フォン・リューノ
年齢:3歳 職業:辺境伯令嬢
HP:100 MP:1千
エネルギー:2万 体重:19㎏
Lv:1
STR:100 VIT:100 DEF:100
INT:100 DEX:100 AGI:100 LUK:50
スキル
・不老・高再生・生殖不可・食鑑定・再現変身・食吸収
・武器武術才能・自己強化魔法・状態異常耐性
称号
・異世界召喚に失敗したもの
・神の友人
・食欲を満たせぬもの
・全てを喰らうもの
再現変身リスト
レッサーオーク100%
コムギ100%
レティス100%
__________________
おぉ...100%になってる。なってるけどどうやってスキルを使うのだろう?
食鑑定が使えれば詳細が見れそうだけど、できたらどうしよう。人を食べ物とみなしている事になるのでバレると迫害か討伐されそうだな。
悩んでも仕方ないし試してみるかな。どうやるのが自然かな?やっぱり指を咥えるのが自然だな。口に入れるという事は唇に触れるという事、と拡大解釈して腕を組む。その状態で軽く握った右手人差し指の第2関節に唇を触れさせる、この時うっすらと口を開ければどこからどう見ても考える幼女だ。
よしっでは詳細を確認してみよう。
__________________
再現変身…①魔力を細胞レベルにまで体に巡らせる
②再現したいものを幻視するまで詳細にイメージする
③魔力を巡らせた所にイメージを重ねる
④元に戻る時は重ねたイメージを剥がす
⑤元の自分の姿をイメージして重ねる
__________________
ふむぅ...これは今すぐには試せないな。そもそも魔力を理解出来てないし、再現するものを詳細にイメージ出来ない。仕方ない、あとで両親に聞くか。
「お父さま、スキルの確認終わりました。魔力を体に巡らせる事と再現するものをイメージ出来ないと使えないようです」
「なるほど、魔力を体に巡らせるのは自己強化魔法の基本だな。本来なら七歳くらいから教えるものだが、サキなら耐えられるだろう」
「そんなに大変な修行なのですか?」
「あぁ、瞑想が基本だからな。それに人体への理解を深めるための座学も必要だから人によっては精神的にかなりきつい。だがサキは大人並みの思考力があるし、我慢強さもあるから大丈夫だろう」
「それくらいなら私でも出来そうですね、早速明日からやりたいです」
「わかった、では明日から始めよう。次のイメージの修行だが、これは私よりウミの方が詳しいな」
「えぇ確かに私の魔法はイメージ力が要ですしね、観察力や想像力を鍛えるために明日から町に散歩に出かけましょうか」
「わかりました。お父さま、お母さまありがとうございます。」
よし!両親が手伝ってくれるみたいだし明日から頑張ろう
「ふむ、そろそろ良いころ合いだろう。昨日のスキル開放の儀であった事について私から話したいことがある」
ついに本題に入るのか、私も自分の事について話さないといけないこともあるし良いタイミングかな
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