第2話 誕生!・・・そして月日は流れ
「オギャー!オギャー!」
「おめでとうございます!元気な女の子です」
「可愛いな...目元が君にそっくりだ」
「鼻筋はあなた似ね...」
「母子ともに無事で良かった、息子と娘に知らせてくるよ」
産まれた時からはっきりわかるのも変な感じだ。
さっき出ていったのは私の父親かな?今は産婆さんに洗われて布に包まれている。あっちで愛おしそうに私を見ているのは母親だろう。
これからこの人達の家族になるのか、なんだか嬉しくなってきた。兄と姉もいるらしいので会えるのが楽しみだ。
「無事に転生できたようね」
神様の声が聞こえる。
はい、無事に転生出来ました。ありがとうございます。
第2の人生いっぱい楽しんで生きます!
「よろしい、次は3歳になったら教会に来なさい。スキルを解放するから」
スキルはもう宿っているのではないんですか?
「母子ともに悪影響があるから産まれた時は封印しているの、スキルの解放が3歳からなのは力を授けるための器が出来るのがそのくらいの時期なのよ」
なるほど、わかりました。ステータスを見ることはできるんですか?
「鑑定と念じれば出来るわよ」
ありがとうございます。
「えぇ、また会いましょう」
さて、鑑定と念じればいいんだっけ...おっ出た。
名前:サキ・フォン・リューノ
年齢:生後0日
職業:辺境伯令嬢
HP:10
MP:0
エネルギー:100
体重:3000g
Lv:1
STR:10
VIT:10
DEF:10
INT:100
DEX:10
AGI:10
LUK:50
スキル
・不老・高再生・生殖不可・食鑑定・再現変身・食吸収
・武器武術才能・自己強化魔法・状態異常耐性
称号
・異世界召喚に失敗したもの
・神の友人
・食欲を満たせぬもの
・全てを喰らうもの
知力高いな!
いや、中身が成人ならこんなものか?
幸運が地味に高いのは転生自体が幸運だからだろうな。
スキルにレベルが無いな、練度を高めていくタイプか?要検証だな。
称号も増えてる、おそらくスキルの影響だな。
そして1番気になるのは私の名前だ、読み方が同じなのは何故だ?
偶然同じだったのか...何か謎がありそうだが今は置いておこう。
「サキは大人しいわねぇ、上の子達はもっと泣いてたのに…大丈夫かしら、心配だわ」
やばい、目を開けたまま神様と話したり、ステータスを見たりしていたからお母さんを心配させてしまった。
今度からは寝たフリをしよう。
なんだか眠くなってきた、赤ちゃんは寝るのも仕事だ。
この続きは起きてからするとしよう。
おやすみお母さん
「スゥー スゥー...Zz」
「あらあら、おやすみなさいサキ。私達の愛しい子」
・・・・・・・時が経ち・・・・・・・・・
私は3歳になった。
この3年で色々な事がわかったので少し振り返ってみようと思う。
まず、オルティナ様の言っていた通りここは辺境伯領だった。お母さんとお父さんの会話の内容を聞く限り領土は広大だが、人が住める土地が少なくほとんどが海や森、山と自然溢れる所らしい。そして、魔物などを倒すためにここの民や兵士達は屈強な者が多いようだ。
次に両親や兄姉達の名前がわかった。
お父さん:ソラ・フォン・リューノ
お母さん:ウミ・フォン・リューノ
お兄ちゃん:ナガレ・フォン・リューノ
お姉ちゃん:ハナ・フォン・リューノ
どの名前も何故か日本人みたいな名前だが、気にしてもわかる事でもないので気にしないでおく。
使用人達の名前はまだ4人しかわからない。執事長のセバス・チャンとメイド長のロッテン・マイヤー、私の専属お世話係でメイド見習いのマリー・ゴールドそして料理長のクックパノだ。
メイド見習いもマリーが私の専属お世話係なのは7歳で私と1番歳が近いからだ。
次に、生まれた時から言葉が理解できた理由もわかった。オルティナ様の加護が影響しているようだ。神の加護の効果は言語理解が確定で付いていて、その他の効果は神様によって違うらしい。オルティナ様の場合は記憶保持で、転生のショックから記憶を守ってくれると言っていた。他にも、覚えたことを自分のモノにして保っておく事が出来るようだ。
コンコン
「マリーです。入ってもよろしいでしょうか?」
これまでの事を振り返っているとマリーが来たようだ。
「はいっていいよ」
「おはようございます、サキ様。本日のお召し物をお持ちしました」
「今何時?」
「今は鐘4つです。この時期は遅い時間に起きることはよくあることですのでお気になさらずとも大丈夫ですよ」
「ありがとう、マリー。きがえたら、ごはんたべにいこー」
「かしこまりました。では、お召替えさせて頂きます」
よし、着替え終わったし食堂へ向かうか。
テクテク・・・テクテク・・・
「ついたー!」
「お席へおかけください。お食事をお持ちいたしますので、少々お待ちください」
「ありがとう」
「お待たせいたしました。本日のご朝食はレッサーミノタウロスのミルク粥です。お熱いのでお気を付けください」
「いただきます!」
もぐもぐ・・・もぐもぐ・・・
「おいしい!」
ミルクの甘みと小麦のとろみ、2つの旨味が合わさってとても美味しい。この世界に米があるなら米で作ったミルク粥も食べてみたいな。
「ごちそうさまでした」
「サキ様、食後のお茶はいかがですか?」
「ありがとう、もらうね」
マリーの入れてくれたお茶はとても美味しい。体に染み渡る感じがするし、本当に体力が回復しているような気がする。
他人の鑑定はまだ出来ないし、自分の鑑定もあの時以来出来なくなっていた。
でも明日は教会でスキル解放があるから、それまで楽しみに待っているとしよう。
さて、お茶も飲み終わったし散歩でもしようかな。
「マリー、おさんぽいこう」
「かしこまりました。どちらまで行きますか?」
「んーと、やしきのなかを、かねはんぶんくらいあるいて、ちゅうぼういって、おやつもらって、おとぉさまとおかぁさまのしつむしついって、きゅうけいにする」
「かしこまりました。では早速参りますか?」
「うん!」
テクテク・・・テクテク・・・
屋敷はとても広い。3階建てで、裏には100m×50mはある騎士団の訓練場が広がっていて、表には広い庭園と大きな門、3階の使用人達の部屋からは敷地内が見渡せる。
因みに、お父様やお母様、私達家族の部屋は1階にある。他にも調理場や食堂も1階だ、2階はホールや仕事部屋などがある。3階は使用人達の住み込み部屋だ。
テクテク・・・テクテク・・・
そろそろ厨房に行くかな。
「マリー、ちゅうぼういこう」
「かしこまりました。階段にお気を付けください」
テクテク、テクテク
「ちゅうぼうついたー」
「では、クックパノを呼んでまいります」
クックパノはこの屋敷の料理長だ、厨房に行くと毎回対応してくれる。流石に主人の娘への対応は部下には任せられないようだ。
「くっくぱの、きょうのおやつはなに?」
「本日のお菓子は、お嬢様の好きなプラケントールですよ」
「やったー!ぷらけんとーるだ」
プラケントールは硬めのパウンドケーキの様なもので、薄く切って少しずつ食べるお菓子だ。今回のは何も入ってないがアレンジとして干した果物や木の実などを入れたりもする。
「まりー、これもっておとぅさまとおかぁさまのところにいこう」
「はい、サキ様。ではこれはお預かりしますね」
「ありがとう」
テクテク、テクテク
「ついたー」
コンコンコン
「さきです。おとぅさま、はいってもよろしいでしょうか」
「よろしい、入りなさい」
「しつれいします」
「失礼いたします」
「今日はどうしたのだ、何か用事か?」
「おいしいぷらけんとーるがあるので、まりーのいれてくれるおちゃで、きゅうけいにしましょう」
「ありがとう、サキ。じゃあお言葉に甘えて休憩にしようか、マリーお茶を頼むよ」
「かしこまりました。旦那様」
「サキ、そこの椅子に座っていいよ」
「ありがとうございます、おとぅさま」
よいしょ。ふぅ、歩きっぱなしで少し疲れたな。お父様は仕事が忙しいと休憩しない事があるから、私がたまに休憩に誘っている。
お母様も一緒に休憩するみたいだ。やっぱりおやつはみんなで食べたほうが美味しいからね。
「あら、サキは最近よくここに来るわね。ありがとう、私が言ってもこの人なかなか休まないから助かるわ」
「そんなことないだろ、ちゃんと休んでるさ」
「まぁ、そういうことにしておきます」
「皆様、お茶とお菓子の用意が出来ました」
「マリー、ありがとう。ではいただこうか」
「マリー、ありがとういただくわね」
「まりー、ありがとういただきます」
・・・・・・・・・・・
「さて、そろそろ仕事を再開するかな」
「そうね」
「サキも明日はスキル解放の日だから早く寝るんだよ」
「わかりました。おとぅさま、おかぁさま、おしごとがんばってください。しつれいします」
「旦那様、奥方様、失礼いたします」
「まりー、へやにもどろう」
「かしこまりました。サキ様」
テクテク、テクテク
部屋に着いたしお昼寝でもしようかな
「まりー、おひるねする」
なんだか最近すぐ眠くなる、スキル解放が近づくと睡眠時間が増えるってお父様もお母様も言ってたしあまり気にしなくてもいいかな。
「おやすみなさーい...Zz」
この後夕食の時間まで寝ていて、食べたらまた眠くなってきたのでお風呂に入って歯を磨いて寝ることにした。
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