第14話 愛はあるのだろうか?
俺の新しい日々にはもう一つあった。
正直それが1番の問題かも知れない。
最低、週に一度以上、ミカかシーマを抱く話になってしまっていた。
重役の連中、俺の異常性を知って先天性の高ランク体でも生み出す目的なのか、そもそも好きにしていい夜伽要員で送り込んできていたミカとシーマに誘惑してくるように言ってきた。
その説明は俺がヒグリに「女と同室は困る」と言った時に、「彼女達はその為にいるんだ。別に何もしなくても良いが、身の回りの世話をしないと仕事にならないから受け入れてあげてくれ」と言われたので、ある程度理解はしていた。
乗船二週間後に俺の世話に来たミカとシーマは明らかに顔が上気していて正常ではなかった。
何を聞いても上の空で、おかしな事になっていたので少し休ませてから確認を取ると子を成してこいと命令されて興奮剤を飲まされていた。
話を聞いていきわかった事は、断っても次のメイドが寄越されるだけで、しかもミカとシーマがダメならトライ&エラーの形で巨乳から微乳、長身から短身、生娘から熟練者、年上から年下まで送り込まれて、断られた奴は下船させられて家族共々マッシィータのホームで低ランクの扱いを受けると言われていた事だ。
「最後まで断るとどうなる?」
「…今言われているのは性転換して女性になった元男性を送り込むケースと…」
シーマの後でミカが言いにくそうに、「…サヨンの時にはパートナー様がいらっしゃったとの事なので、よく似た方を見つけてきて…」と言う。
頭を抱えた俺はもう少し踏み込んで聞くと、薬物耐性があっても目鼻立ちや教養なんかで風俗室を逃れた連中は、マッシィータなんかの一流企業では夜伽部に配属されて、ミカやシーマみたいなメイドの仕事を与えられて相手が求めた際はいつでも受け入れる必要がある。
まだ風俗室のように違法薬物を使われる事が禁止されている事と、特定の相手しか持たないで済む事で立場を受け入れる事になっていた。
「嫌じゃないの?」
「お父さん達の暮らしがあるから…」
聞いていて頭が痛くなる。
ここでも親の為か…。
「2人?どちらか?」
「…重役からは可能なら2人ともと言われました」
「でも…シーマには彼氏が居たから…。出来たら私だけ…」
聞いてて更に頭が痛くなる。
シーマの彼氏は前に7ランクでシーマをメイドに1人つけていた男で、俺が来たせいで2番艦に栄転という立場で送られたらしい。
だったらシーマも連れて行けと思ったが、ミカとシーマの両親が娘たちの離れ離れを嫌がっての事だった。
もう意味がわからん。
断っても際限なく寄越されて、終いには余計に興味のない同性やリーヤのそっくりさんを用意されるくらいならという事で、仕方なくある程度の条件をつける事で受け入れることにする。
ミカには特定の相手がいないと言うので、俺が気に入ったのはミカで、催淫剤や興奮剤に排卵誘発剤の類は判別魔法で見抜いて、薬臭い女は好きじゃないと言って断ったことにする。
そしてミカが俺の相手をできない日にシーマが担当をする事になる。
正直やった事にして終わらせれば良いのに、毎回報告義務と検査が待っているらしい。
頭おかしすぎるだろ?
だがまあそうなると抱くしかなくなる。
抱きながらリーヤの事を思い出し、それをミカやシーマは見抜いてきて、「彼女さんに怒られますか?」、「彼女さんの好みはそうなんですね?」と言ってくる。
別にそうじゃない。
それしか知らないだけだ。
俺の中ではリーヤの好みが基準になっている。
リーヤは上に来たがる。
リーヤは重いのを嫌がる。
リーヤは自分が満足するまで終わらない。
それこそそれで言えば、ミカはシーマより小ぶりの胸をコンプレックスにしているが触られると喜ぶ。シーマは2番艦に送られた男に謝って涙を浮かべた日の方が1人で勝手に燃え上がっていた。
2人にも違いはある。
もう3ヶ月になった。
ふとこんな生活を続ける中で、リーヤの「へへっ、知ってるか?こういうのは愛する者同士がするらしいぜ?」と言った言葉が思い出された。
俺は愛の部分が妙に引っかかった。
親は子を愛すというが、俺の親は兄さんの死を悲しむより自身の立場と住む場所を最初に考えていた。それもあって俺の事を早々にサヨンに売り飛ばした。
アイツらに愛があって俺が生まれたとしたら愛なんて異常だ。
その思いから俺の上で腰を振って荒い息遣いのリーヤに、「愛?リーヤにあるの?」と聞いた。
リーヤは普段のポニーテールをやめて髪を振り乱して動いていたのを止めて、「ば…バッキャロー。お前は私のアダルトグッズだって言ったろ?まあ馴染むから愛着はあるけどな。しっかりと私に尽くせよな」と言って俺の横に顔を置いて必死に動いていた。
ミカとシーマ。
この2人に愛はあるのだろうか?
シーマは2番艦にいる男に愛があるだろうから無いだろう。
ミカにあるのか、今度聞いてみても良いかも知れない。
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