マッシィータ
第13話 新しい日々。
マッシィータの2番艦が来たところで俺は1番艦に乗って連れて行かれた。後はスミセン達一家も乗り込んだらしいが、出入り口からして別なのでどうだか知らない。
あの日、ウキョウとヒグリは「安心してくれ。マッシィータではあんな目には遭わせない」、「本当だよ。我々は能力に見合った待遇を用意するからね」と言い、最後に暫定でいいから能力測定をさせてくれと言うのでやらせたら、ヒグリは出てきた結果に取り乱してしまい、ウキョウが声をかけると「こんな人間見た事がない!彼は6ランク…」と言い、ウキョウが「6?そんな低い訳が…」と言ったところで、「判別魔法のランクが6でそれが1番低いんだ!」と言い、「モードを各モードに置き換えて専門用にして検査をしたが、火や水、氷に雷なんかのそれこそ1人で無理をさせられた現場の魔法は8だ!」と言った。
「なに?」
「ウキョウ!信じられないのも無理はない!僕自身目を疑ったがノウエくんはどの能力も高水準だよ!」
これにより頭がおかしくなりそうな高待遇で迎え入れられることになる。
親が住む7ランクの家くらいある部屋には2人のメイドまで付いている。
最初は何かの詐欺を疑ったが、ヒグリからは「あのね?君はそれだけのことが与えられる人間なんだよ?」と言われてようやく受け入れる事が出来た。
メイドは若い姉妹で姉がミカ。妹がシーマと言う名前だった。
マッシィータに着いた俺は最初のひと月は片っ端から館内業務に携わることにした。
俺は知らなかったが、俺のマネジメント力とかを買われたらしいナンセンまで着いてきたことを聞いた時にはげっそりとしてしまう。
ヒグリは俺がやる仕事ではないと止めるが片っ端から参加をしてみる。
やはりサンワさんやリーヤの教えは間違っていない。
基礎が出来ているので現場が変わっても結果を出す事は出来ていた。
調理部ではサヨンから届く高級食材の扱いに困っていたので、アドバイスをして一緒に調理をして喜ばれるし、医療部ではカヤさんの教えの通りやって褒められたし、逆に教わる事もあって為になる。
それはどの部署でも似た感じで居場所はすぐに出来る。
そしてやはり驚かれたのは動力部の水晶に火魔法を送る現場や、水瓶に水を入れる作業。
ここの水瓶はカワグチコ型というらしく、確かに前のものより大きい。半分以下になった水瓶の前でヒグリから可能な範囲でいいと言われて満タンまで貯めたら無理をしてないかと聞かれたが「多分空からでも入れられますよ」と答えると、「いやはや…後は給与の増額しかないがどうする?」とウキョウに言っていた。
動力部にしても無理をすれば1人でこの陸上戦艦を走らせられる内容に、皆が目を丸くする。
戦闘部が1番厄介だったが、ウキョウがわざわざ前の型の魔法砲撃銃を持ち出して「在庫処分だ。壊してみせてくれ」と言うので、討伐対象のマツザウロスを火炎竜巻で焼き払うと周りの目が変わった。
だがここでも部署決めはされなかった。
適宜部屋から通える部署に行き、人員の穴埋めや遅れの出ている箇所のフォローに回ることになった。
どの部署も「なあ、自分からウチに着たいとか言えば良いんじゃないか?来いって!」と言ってくれたが、コレに関してはヒグリが俺の能力が後一年でどれだけ高まるかを見たいからどの仕事も行うという話になった。
その裏でナンセンの奴は嬉々として俺を売り込んで自分の立場を安定させていく。
寄生虫みたいな奴だ。
とりあえずマッシィータの凄さは船からでもわかる。
主砲も副砲もしっかりと機能していて、堅牢な甲羅を持つハウスタートルなんか相手でも、容赦なく主砲を放って相手を弱らせてから戦闘部を送り込む。
最大効果。
子供のハウスタートルは戦闘部が蹴散らすことになるが、装備が上等なだけでこんなに楽になるなんて思わなかった。
氷結弾とアンカーの攻撃で剥製にして売る為に何とか綺麗なまま確保したいというオーダーにも難なく答える事ができる。
全員の統制が取れていて邪魔になるはずの俺にも隊長のバシンが併せてくれるのでなんとかなる。
どうしても連携から遅れる俺が「俺邪魔ですよね?」と聞くと、バシンは「何を言う!?連携を気にしてと言うなら戦闘部へ来い!お前は我々の仲間だ!ノウエ!お前はアンカーでハウスタートルにトドメを刺してから合流だ!最短最速で頼むぞ!」と熱く話しかけてくる。
「了解です。アンカーを3本貸してください」
「存分に振え!お前が壊したアンカーは本社で開発部がより強固なアンカーに作り替えてくれる!全てがポジティブに働いている!」
俺はそうまで言ってくれるのならと思い「なら試します!最大出力!」と言って雷魔法を放つ。
正直驚いた。
前のアンカーは使いすぎると熱を持ってしまうし嫌な臭いがしてきていたがコレにはそれがない。
だが少しするとやはり嫌な臭いがきてきたので、バシンには「コレもう壊れます」と言って渡して2本目を使う。
後ろからは「おい…マジか」と言うバシンの言葉が聞こえてきたが知ったことではなかった。
残った子供のハウスタートルに対しても試すように言われて使うとすぐにショック死してくれた。
それらが俺の新しい日々になった。
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