第13話 無くなってしまってから
「さてと、何を買おうかなー」
朝食後、町に買い物に来たアリアとミオ。ガヤガヤと騒がしく人が多い中、アリアが行き慣れたお店へとご機嫌で歩いている
「持てなくなるから、たくさん買わないでよ」
「分かってるよ、ミオも持てるくらいまでだよね」
アリアの返事に少し後ろを歩くミオが、はぁ。とため息をついた。途中寄り道をしたりミオが行きたいお店に行くこともなく、アリアが行きたかった薬草のお店に着いた
「おや、二人ともいらっしゃい」
カランとお店の扉が開いた音が聞こえて、お店の奥から店主の男性と女性が現れた。ニコニコと微笑み声をかけた店主にアリアもニコニコと微笑み駆け寄る
「こんにちは。今日は新しい薬草とかありますか?」
「残念、今日はないんだ。というか、色々あってね、しばらく入荷は厳しいかもな」
「そうなんだ。残念……。前もあまり買えなかったのに……」
店主の返事にしょんぼりとうつ向くアリア。そのままうつ向いたままはぁ。とため息つき店内を歩きだした
「珍しいですね、この町は薬草とかよく売られてて、わざわざ遠くから買いに来る人もいるくらいなのに」
と、ミオが不思議そうに店主に話しかけると、店主が困った顔で頷いた
「そうだな。まあ色々あってな。さっきもクリア様も、薬草とか色々な件でお出掛けになったそうだし」
「そうなんだ。大変だね、ねぇアリア……」
と、ミオが振り向きながらアリアに声をかけるが、気づいていないのかお店に残っている薬草をじーっと見つめたまま動かない。その様子を見た店主とミオが帰るのに時間がかかりそうだと思い、はぁ。とため息をついた
「どうしましょうか……」
「クリア様達は明日帰ってきますし、大丈夫でしょう」
「だといいけれど……」
その頃、アクアのいるお城では家政婦達が居間に集まりヒソヒソと話をしていた。庭で本を読もうとしていたアクアが話し声に気づいて、家政婦達に近づいていく
「みなさん、どうしたんですか?」
話を聞きたくて仕方なさそうな様子のアクアを見て、家政婦達が顔を見合わせ言おうかどうか悩んでいると、アクアが笑顔で家政婦達を見つめていた
「術や薬に使う薬草が足りないそうなんです。庭師や薬師が管理していたはずなのですが……」
笑顔に負け話しはじめると、アクアが薬草を育てていた庭の方を見た。ちょうどアクアが行こうとしていた庭にあるベンチに庭師や薬師がしょんぼりとうつ向いて座っていた
「ここ最近は町の薬草も減っているみたいなので、管理はしっかりしていたそうなので、落ち込んでいますね」
「……あげちゃうからじゃないですか?」
と、家政婦の話にアクアがポツリと呟く。その言葉が聞こえた家政婦達が驚きアクアを見た
「あっ、いえ、何となくそう思っただけです。ごめんなさい」
一斉に見られ慌ててペコリと頭を下げ謝ると、家政婦達がまた顔を見合わせた
「薬草はクリア様がどうにかするでしょうから、数日は大丈夫と思いますので」
「ええ。アクア様はお気にせずに。本や術の練習をしてください」
家政婦達がそう言うと、下げていた頭をガバッと勢いよく上げると、座ろうとしていたベンチが見えた。まだ庭師や薬師が座って話をしていた
「じゃあ、私は稽古場に行きますね。みなさんも後で対戦相手として来てください」
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