第12話 食後のデザートを共に

「あった。あの家がアリアお姉ちゃんの家か」

 クリアが出掛けてから数分後、アクアがお城の屋根に登り風に当たりながらアリアの家を見つめていた

「こんな近くに住ませるなんて、せっかく離れて暮すなら、もっともーっと遠くにすればいいのに、お母様ったら変なの」

 呆れたように、はぁ。とため息ついてボーッとアリアの家を見ていると、お城の回りでざわざわと騒がしい声が聞こえてきた

「アクア様!どこに行ったんですか?」

 家政婦達が姿が見えなくなったアクアを探して慌てている。その様子を少し見た後、ふわりと屋根から降りた


「みなさん、私はここです」

 家政婦達がいる玄関から少し離れた場所に降りてアクアが声をかけると、その場にいた全員が驚いた顔でアクアに近づいた

「見つかって良かった。心配しましたよ」

「ごめんなさい。少しお散歩をしたくなって……」

 しょんぼりとうつ向いて謝るアクアに家政婦達が顔を見合わせ、安堵からふぅ。と深呼吸をしているとアクアがお腹を擦りエヘヘと笑った

「それより、おやつはありますか?お腹が空きました」

「ええ、あります。すぐ用意させますので皆で食堂に行きましょう」

「じゃあ、私が一番最初に食堂に行きますね!」

 家政婦の言葉を聞いてすぐそう返事をすると、突然走り出し家政婦達を残してお城の中に入っていった




「アリアはよく食べるね」

「うん、夜ご飯食べてないから」

 ミオが持ってきてくれた昨晩の夜ご飯と今日の分の朝ご飯を食べるアリア。パクパクとたくさん食べるアリアの姿に圧倒されながらミオも一緒にご飯を食べる

「まあ、冷えてても食べてくれるなら作った方は嬉しいけどね」

「ミオの魔法では温められないの?」

「私は出来ないよ。多分術を使ったらご飯が全部燃えちゃうかも」

「そっか、ミオの魔術もまだまだだね」

「ちょっとひどいよ!」

「ごめんね」

 クスクスと笑って謝るアリアに、ミオが少しムッとした顔でご飯を一口食べると、アリアが紅茶のおかわりを淹れながら、ミオに話しかけた

「今日はミオはどうするの?また術の修行?」

「ううん、今日は休む。アリアは?」

「もう体調も良いから、お出かけしようかなぁって思っているよ、一緒に行こう」

「いいね。授業に必要なもの買いたいし」

 デザートに手を伸ばしながらアリアに返事をすると、二人分の紅茶のおかわりを淹れ終えたアリアもデザートを食べながら、うんと頷き返事をした

「じゃあ、決まりだね。早く食べて、ちょっと調合し終えたら行こっか」

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