第6話 朝、楽しそうな声が響いて

 次の日の朝、朝御飯を食べ終えたアクアがお城の一室で本を持ちソワソワと動いていると、コンコンと、部屋の扉を叩く音が響いた後、クリアが家政婦達と一緒に部屋に入ってきた

「アクア、どうしたの?」

 本を抱きご機嫌なアクアを見て、クリアがフフッと微笑みながら聞くと、アクアが持っていた本がふわりと浮かび、ページがパラパラと開いた

「知らない術が書かれた魔術書を見つけたんです。少し試してみようかなって思って」

 テンション高く、開いたページをアリアが指差すと、その本がページを開いたままクリアの元へと飛んでいくと、本を取りそのページを見た少し驚いた顔で本を読み進めていく

「これは難しそうな術だから、何名か補助もつけておく?」

「ううん、一人で大丈夫。けど、何かあったら助けてくださいね」

「ええ、もちろんよ」

 クリアの返事を聞いて、アクアの元に戻ってきた本を抱きしめ部屋を出ていったアクア。パタパタとご機嫌そうな足音を聞いて、クリアがふぅ。と深呼吸をした


「新しい術ね……。あの子にもまだ知らない術があったなんて」

 壁にある本棚を見てクリアが呟く。もう本が入らないほど入った本棚から無理やり一冊取り出して、パラパラとページをめくる。クリアにも少し戸惑う魔術が書かれているその本に、少し目線が険しくなった

「クリア様、アクア様はまだ生誕されて数年ですよ。まだまだ知らない術があるのは当然です」

「そうね。これからアリアも一緒に色々なことを見て知るのよね」

「ええ、きっと一緒に……」

 家政婦からの返事にフフッと微笑み本棚に本を戻すが、上手く本が隙間に入らず苦戦していると、コンコンと部屋の扉を叩く音が小さく聞こえてきた


「あの、クリア様……」

 新入りの家政婦が恐る恐る声をかけながら部屋の扉を開けると、クリアだけでなく、家政婦達から一斉に視線を浴び、あたふたと戸惑いながらクリアに報告をはじめた

「あの……、アリア様がお城に来ておりますが……」

「なぜ急に?」

「ご友人とアクア様の杖が欲しいと来たそうです。一応、アリア様は杖よりも薬草が欲しいと話しておりますが……」

 予想外の報告に驚き戸惑うクリア達。ふと窓から外を見ると、微かにアリアやミオの楽しそうな声が聞こえてきた。しばらく話し声を聞いて、またフフッと微笑んだクリアが、くるりと振り向き部屋に来た新人の家政婦の方を見た

「薬草……なら大丈夫でしょう。庭にある薬草を少し渡しても構いません。ですが、アリアへの観察を注視するよう伝えてくださいね」

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