第7話 互いの思いを乗せた音色
「はい、これがアクア様の杖だよ」
「ありがとうございます!」
お城の入り口で、警備の男性からアクアの杖のレプリカを受け取ったミオが目を輝かせお礼を言う。その様子をアリアが微笑み見ていると、警備の男性の方に一人の家政婦がパタパタと走ってくると、カラフルな入れ物を男性に手渡し中身を確認すると、アリアにその入れ物を差し出した
「で、これが……」
と、そのカラフルな入れ物を手に取ったアリアが中身を見て、目を輝かせその入れ物から一つ取り出した
「薬草ですね!私が持っているのよりも綺麗!」
「ここには専属の薬師がいますので、ちゃんと管理しているんですよ」
「そうなんだ。羨ましいなぁ……」
家政婦の話しに羨ましそうに薬草を見つめるていると、ミオが入れ物から一つ薬草を取り出して、不思議そうに見つめていると、家政婦から薬草の種類の説明を受けて、アリアがうんうんと頷く
「アリア、そろそろ帰るよ。長居してたら迷惑になっちゃう」
服の袖を引っ張り帰るよう諭すと、説明がまだ聞きたくて名残惜しそうにしょんぼりするアリアの服の袖を引っ張って、ミオがお城の門の方へと歩いていく
「またお二人とも、来てくださいね」
家政婦と警備の人が二人に手を振り見送ると、ふぅ。と一つ深呼吸をして顔を見合わせた
「ねえアリア、この杖で術を使ってみるから、今から相手になって!」
門を出てすぐ、買ったばかりの杖を取り出してミオが言うと、アリアも貰った薬草が入ったカラフルな入れ物を少し困った顔で見つめた
「えー、薬草を使いたいから今から嫌だよ。それにミオの術は避けきれないもん」
「昨日、新薬を飲んだでしょ?だから付き合って!」
「いいけど、術を使えない方の身にもなってよー」
早歩きになったミオを追いかけ、アリアも早歩きで追いかける。その様子をお城の二階の小窓から見ていたクリアが微笑ましそうに見ている。二人の姿が遠く見えなくなった時、ドンッと大きな物音とお城が少し揺れた
「なんの音?」
「どうやら術の稽古場で聞こえたようですね」
「アクアね。これ以上、建物を壊してはダメだと言ったのに……」
側にいた家政婦の返事に、はぁ。とため息つきながらクリアも返事をすると、家政婦達が稽古場の方を見て、不安そうな顔をした
「最近、たまに術の制御出来ないそうですね。そのせいで壊してしまったのかも」
そう家政婦の一人が言うと、クリアも稽古場のある方を見て、また一つため息をついた
「まだ私達でどうにかなるかしら」
「今はまだ。ですが、明日にも出来なくなるかもしれません」
「そうね……」
と、雰囲気が少し暗くなってきたその時、新人の家政婦がクリアを見つけ、恐る恐る近づいてきた
「クリア様、アクア様が術の相手をしてほしいと呼んでいますが、いかがなさいますか?」
そう家政婦が言った時、またドンッと大きな物音が聞こえ、お城の中が少し騒がしくなり、クリアがゆっくりと歩きはじめ、家政婦達を少し横切ると不安そうな顔をしている家政婦達に気づき、それを打ち消すようにクスッと微笑んだ
「あの子達は未来があるもの、私達が今、頑張らないとね」
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