第35話 みだしなみ

「そなたにいっておかねばならぬ」


「そんなにかしこまってどうしたん?」


「みだしなみを整えよ」


「整えよ」


「よ!」


 ひかるウィズ姉妹が口をそろえての忠告だ。


「わかった。どうすればよい?」


「ぱぱはね、おもしろい顔だからね」


「ままさんは見慣れておるのじゃ。わらわに任せよ」


 なんだか面白くなってきた。


「わらわはそなたに着物をすすめたいのじゃ」


「いいじゃないの」


「露草色といってな、そなたに適したものであろう」


「わたしも着物!」


「じゃあ、みんなで着物着ようか」


「ぱっぱ!」


「まぁ、そんなに急がずともよい。数時間ほどであるが、わらわが試しにあつらえよう」


 指先が煌めき、流れる光がぼくたちを優しく包む。瞬きをした次に、装いが変わった。お姉ちゃんは赤色、妹ちゃんは黄色、ままは紫である。


「写真撮ろうよ」


「なんじゃそれは?」


 我が家の記念写真が一枚、増えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る