第33話 根気

 ちょうど良いところを探す根気。それはどうにも難しい。基準をちょうどよくおこうとすると、すぐに自分よりに相手よりになるものだから。


 ずっと書き続けていて、読み続けていて、思考を続けて。それからいろんな物事にふれている。そのどれにも向き合いすぎずに、ちょうどよい距離をたもつ。


「うーん。今もとらわれすぎているのかなぁ」


 万年筆を立ておき、天を仰ぐ。


「とらわれすぎている。そこに注意を払うのも必要ですが、ほどよく距離をとらねばなるますまい」


「ぽりんさん、ほどよくを考えるのもほどよくなんだよね」


「そうですね。こうだと型を決めると、そちらによりますから。川に葉が流れるような心地が近い表現になりましょうか」


「川に葉が流れるように。柔らかいなぁ。ちょっと余白があって、自分の心持ちに合わせて感じ方が変わるような」


「日々、このときも身も心も変化しています。流されるままに生きているといってもよいかもしれません。そこになにがあるのかないのか。感じ取るか感じ取らないかさえ、判断になりますね」


「そこに個性が生じるのでしょうか」


「そうかもしれませんね」

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