第33話 根気
ちょうど良いところを探す根気。それはどうにも難しい。基準をちょうどよくおこうとすると、すぐに自分よりに相手よりになるものだから。
ずっと書き続けていて、読み続けていて、思考を続けて。それからいろんな物事にふれている。そのどれにも向き合いすぎずに、ちょうどよい距離をたもつ。
「うーん。今もとらわれすぎているのかなぁ」
万年筆を立ておき、天を仰ぐ。
「とらわれすぎている。そこに注意を払うのも必要ですが、ほどよく距離をとらねばなるますまい」
「ぽりんさん、ほどよくを考えるのもほどよくなんだよね」
「そうですね。こうだと型を決めると、そちらによりますから。川に葉が流れるような心地が近い表現になりましょうか」
「川に葉が流れるように。柔らかいなぁ。ちょっと余白があって、自分の心持ちに合わせて感じ方が変わるような」
「日々、このときも身も心も変化しています。流されるままに生きているといってもよいかもしれません。そこになにがあるのかないのか。感じ取るか感じ取らないかさえ、判断になりますね」
「そこに個性が生じるのでしょうか」
「そうかもしれませんね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます