第25話 手紙

「ぱぱ宛てに手紙が来てたよ」


「ありがとう」


 切手はなく、和紙に包装されており開けるのがためらわれる。裏返すと差出人の名前もない。


「どうしようかと思ったんだけどね、ぱぱの判断に任せようかと」


「うん。確かに悩むね」


 コーヒーを淹れて飲んだあと、はさみをいれて開いてみた。わずかな香が鼻に届いた。筆で書かれた文字は、草書であり、ほぼ読めなかった。


「お願いします」


「承った」


 ひかるにお願いすると、失礼する、といってさっと目を通したあと。


「すまぬ」


 一言、詫びたあとに読み上げられた。


「こないだきた、みっくさんからだったか」


「それにしてもひかるが大好きなのね」


「ひかるん、ほっぺ赤い」


「ん!」


 子どもたちにも指摘されたひかるは、手紙を丁寧にしまうと返した。


「そうじゃな。なれど、わらわは」


 そのあとのことばは続かないままだった。


 

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