第8話 階段

「いく!」


 妹ちゃんが勇ましく指差す先には、二階へと続く階段がある。ベビーゲートを開けると、おもむろに足を上げて、どんどん上っていく。初めは、膝と手を使っていたのが、今では足の裏でしっかり踏み締めて上がっていくのだ。


「すごいね」


 お姉ちゃんが応援している。妹ちゃんを抱っこできるようになってからは、階段も抱っこであがっていた。今では妹ちゃんの成長を理解して見守っている。


「で、き、た」


 2階に上がり終えると、喜びの声をあげる。思わず拍手する。そして、今度は後ろ足の体勢で降りていくのだ。見守り歓声をあげながら、少しずつ。この往復が楽しくてたまらない。


「親子とはよいものじゃのぅ」


 天井と階段の間に浮かびながら、しみじみするひかる。当たり前のように魔法を使っているなぁ。


「そう見えるかな」


「うむ」


「ありがとう」

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