第6話 送迎

 ひかるが来る前、ぼくは最寄駅まで送迎されていた。お姉ちゃんが送りすると言ってくれたのをきっかけに、いつしか迎えも行うようになっていった。片道5分と駅についてから、車のドアを挟んでのお姉ちゃんの言葉が幸せであった。約束として、お支度を頑張るというのがあった。けれど4歳のお姉ちゃんは、朝の子ども向け番組を見たり帰ってきたぱぱと遊びたかったりもする。そんなお姉ちゃんを可愛いと思いながらも、靴下はいてなどと怒ってもいた。これはとてもジレンマで、送ってくれるのにどうして怒るのかと、もやもやしていたのだ。


 ある時、今日でおしまいねとなった。ぼくは寂しさのあまり、スマホのメモ帳に次のように書いた。


昨夜、迎え。今朝、送りができなくなった。

お姉ちゃんはかわいい。でも、まだ4歳。テレビをみたり、遊びたかったり、支度が遅れるのだ。それを靴下履いて、トイレ行ってと、怒るのは可哀想である。

 もちろん歩かなくなって助かるのもあるけれど、家族みんなで大切な時間だった。なくなると寂しい。今朝も車の窓をあけて、早く帰ってきてね、お休みの日に遊ぼうねと話してくれた。毎日、お姉ちゃんはこの話をする。ずっと一緒にいてあげたい。


 そんな時に縁あって、ひかるがきた。ものすごい時短で送迎が済んだ。もっと楽しく嬉しく、一緒にいれた。なんて幸せなのだろう。これだけで、ひかるがいてくれてありがとうと思える。しかも送迎だけでないんだ。ひかると娘たちが一瞬で仲良しになって、大好きになってくれた。こんなにも良い縁の巡り合わせがあってよいのだろうかと思う。

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