第4話 変顔

「これ、その手をとめんか」


 なにやら騒いでる声に顔を出すと、変顔のひかるがいた。


「ぷっ」


 思わず吹いたら、顔を真っ赤にした。


「ひかるん、おもしろい」


「うん! ねっ!」


 お姉ちゃんが涙を浮かべて笑い転げ、変顔にした張本人の妹ちゃんは満足気である。


「二人ともそろそろやめなさい」


「はーい」


「ん!」


「ひかる、ごめんね。痛くしてない?」


「問題ないぞ。予想以上に力があるのぅ、幼子は」


「ありがとう、ひかる」


「笑うたというに」


「子ども達が嬉しそうだ」


 ひかるはほほを染めた。


「今度はぱぱだー」


「ぱっぱー」


「おわっ?!」


「ぷっ」


「ぱぱはいつも変顔だからなぁ」


「そろそろ止めてくれー」


「やだ」


「ん!」


 いつもの光景なんだけど、ひかるが加わり、よりよいなぁ、なんて思っていた。


「もう十分じゃろ。しまいにしてやらねば、変な顔のまま戻らなくなってしまうぞ」


「ちゃーちゅ」


 妹ちゃんはやめた。


「それでいいんだよ、うんこ、あはは」


 お姉ちゃんは4歳児だから止まらない。


「ぶりぶり、うんこ攻撃だ」


「わぁ、くっさーい」


「あははっ」


 こんな毎日が楽しくて嬉しいんだ。

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