第3話 洋服
「今日もありがとう」
「なんのこれしき」
「ぱぱ、この光の楽しいね」
「ぱっぱー」
子ども達と一緒にひかるは迎えにきてくれる。店をダッシュで出て線路沿いに入ると、いつしか光の繭に包まれる。そして我が家だ。日が長くて、まだギリ明るい時間に家にたどり着けるのは嬉しい。
「ただいま」
「おかえり。ひかる、今日もありがとね」
「なんのなんの。今夜は肉じゃがであろう? はよう食べようぞ」
「はい、はい。みんな手を洗ってね」
準備が整って着座。我先にと飛びつく、ぼくとひかる。
「まま、これいや」
「野菜も食べると大きくなるのよ」
「ふんっ!」
お姉ちゃんは好き嫌いを言う。妹ちゃんは芋好きで、気合いを入れて食べている。お口周りがべちょべちょだ。
「いい食べっぷりだ」
濡れティッシュでふきふきしたげる。にこにこしている姿が愛らしい。
「はむはむ」
ひかるの食べる姿を見ていると子どものように純真で、ぼくまで幸せな気持ちになる。
「ひかる、おかわりあるよ」
「いただきます」
ちなみにぼくの好物は肉じゃがなんだけど。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。今日もおいしいよ」
今夜の肉じゃがは相変わらずおいしい。そして少し賑やかである。
「そうだ、ひかる。着付けを教えてほしいのだけど、頼めるかしら?」
「ままさん、お任せあれ」
「ありがとう。そして、ひかるも服を買いに行きましょう」
「このままではいかぬか」
「ちょっと煌びやかよね。着物はいいのだけど、思い切って洋服にするのがおすすめです」
「洋服のぅ。わらわも気になっておったし、きてみるかの」
「ふふ、それじゃあ、モールにいきましょうね」
「モールとな?」
「いろんな店が入っていて、おいしい食べ物もあるわよ」
「ほほぅ」
なんだか楽しそうだなぁ。
「うちの車は4人乗りだから、ぱぱのお仕事の日ね」
「あい」
「ぱぱ、お土産かってくるね」
「ありがとう、お姉ちゃん」
大好き。翌日、ワンピース姿のひかると子ども達が迎えにきた。
「なかなか似合うであろう?」
「前から思ってたけどさ」
「なんじゃ」
「本当に美人だね」
家に帰ると、おいしそうなシュークリームが待っていた。やったー!!
「そなたも実に幸せそうに食べるのじゃな」
「食べっぷりがいいのは、ぱぱの数少ない長所ね」
「おいしいね、ぱぱ」
「ぱっぱ! おいひいね」
今日もぼくは幸せもんです。
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