第13話 初討伐③

「よう蒼、初討伐行ったんだってな、どうだった?」

「先輩こんにちは、無難にいきました」

「そうかそうか、だけど慣れた頃が一番危ないから油断するなよ」

「はい注意します、あと突然で申し訳無いんですが、

先輩達でお古の防具を安く売ってくれそうな人いませんか?」

「いい心がけだな、新人は新品じゃないと嫌だとか言う奴が多くてな、

新品揃えている間に死んだら元も子もないのにな。

革プレートで良ければ俺のお下がりをやるよ。

随分古いけどキッチリメンテナンスしてあるから下手すれば新品より使える。

革製品何て使っていくうちに使いやすくなるからな」

「ありがとうございます、ですが流石にただで貰うと他の新人と揉めそうですので売って下さい」

「つってもな、結構古いし使ってないしな」

「でしたら私の作成したポーションと交換で良ければお願いします」

「蒼の保護者?」

「おかんでもなければ、保護者でもありません」

「わりぃわりぃ、知っているよ、蒼が自慢してたかわい子ちゃんだろ、琴音ちゃんだっけ」

「可愛い子って言っていたのは先輩ですよね」

「うん?可愛くないの?」

「.....先輩、勘弁して下さい」

「それはそれとして、琴音ちゃんの作るアイテムは前から興味あったんだわ、ちなどんなのがある?」

「とりあえず内密でお願いします、こんな感じです」

私は小声で先輩の耳元で作れるアイテムを伝えた。


「いいね、蒼と同じ奴を一本ずつ頼む」

「耐性二本、中級二本、MP二本で」

「いや流石に俺がもらいすぎだわ」

「可愛い子って言って頂けたみたいですのでおまけです」

「敵わねーな、蒼、装備は売店の奥のカウンターに後で預けておくんで、

次の討伐の時に受け取りな」

「はいありがとうございます、琴音さんもありがとう」

「同じパーティなので気にしないで下さい」

その後、蒼君の先輩と手を振って別れた。


カウンターに向かうと朝対応してくれた女性が迎えてくれた。

「無事で何よりです、初討伐成功おめでとうございます」

「ありがとうございます、これが今回の成果です」

「魔石が七個と短剣が二本ですね、魔石は今の相場で一個三銀貨、

短剣は手入れが悪いので二本で五銀貨で、合計二十六銀貨で良ければ買い取れますよ」

「それでお願いします」

「銀貨十枚で小金貨一枚にできますがどうします?」

「皆と分けたいので銀貨でお願いします」

「分かりました、ではこちらです」

「確かに受け取りました」


「蒼、初討伐成功記念で何か美味いもの買ってかね?俺エールが飲みたい」

「エールは炭酸抜けるし、ぬるくなるから、もう少し稼げるようになったら店で飲もう」

「調味料と黒パンは欲しいです。

大和君が使いやすい調味料って、やっぱりお醤油ですか?」

「そうですね、みりんと料理酒があればなお良いですが、醤油だけでも」

「私も少しきょうみあるんで二人で見に行きましょう。

詩ちゃん、蒼君、竜司君は向こうに食材もあるので食べたい物を選んで下さい。

あまりお高い食材は却下です」


「流石に転生者が多いだけあってお醤油はありましたが、お酒は白ワイン、

みりんは置いてないみたいですね」

「街に出ないと分からないけど、原材料に米を使う物が無いのかも」

「私は結構なパン好き何で平気ですが、大和君はつらそうですね」

「うん、そうなんだよね、パンは嫌いじゃないけど、しっくり来ないんだ」

「ちなみに大和君て、どんな料理作れるの?」

「基本は肉じゃがかな、豚汁、カレー、シチューに変化できるしね」

「そう言われるとそうだよね」

「後は丼もの全般、苦手なのは焼き料理」

「焼き料理苦手なの?」

「煮込み料理は味の調整が出来るけど、焼き料理って一発勝負みたいで、

弱気になって焼きを甘くすると生だった時の気持ち悪さ」

「確かに生焼けは気持ち悪いよね」

「うん?」

「どうしたの?」

「あれマヨネーズじゃないかな?」

「確かにマヨネーズだ、高く無いし買って行きましょう」

「あれでも、マヨネーズって米酢使わなかったけ?」

「果実酢を使う場合もあるみたいですよ」

「へぇーそうなんだ、どんな味がするんだろね」


「食材は決まりましたか?」

「おう、決まったよ」

「潔いくらい肉ですね、あと何で黒パンそんなに買ってるんですか」

「ほら、黒パンが何時でもあると安心するじゃん」

「リスですか、まぁ良いですけど、詩ちゃんは何も選んで無いの?」

「実は野菜が欲しいのですが、どうせ広い庭があるから家庭菜園出来ないかなと思って」

「お金の節約になりそうだし、新鮮そうだし良いと思う」

「ですが何を育てるか迷ってしまって」

「きゅうりとかミニトマトとかなすとかが比較的に育て易かったような、

さっきマヨネーズも買いましたし」

「ミニトマト好きです」

「僕は茄子が好きかな」

「じゃあ、ミニトマト、茄子、キュウリを育ててみましょう、

肥料も必要かな、お金結構使っちゃうね」

「良いと思うよ、初期投資だし、最終的に節約になるしね。

店員さんに育てかた聞いて琴音さんが朝食作ってくれてる間に俺達が面倒見るよ」

「ありがとう、蒼君」

「今日のお祝いはどうする?」

「今日の所は、果実ジュースで乾杯で良いかな、もっと稼がないとな」

「了解、頑張るか」


その夜ささやかな祝勝会を開いた。

毎日皆が無事で帰って来れますようにと心をこめて。

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