第10話 当番と今後の方針

「当番を決める前に、まず最初に確認したい事がある。

この中で料理が出来る人は挙手して欲しい」

私は蒼君の言葉に迷わず手を上げた…のだが

「え?」

周りを見ると手を挙げているのは自分だけだったので、一旦手を引っ込めた。


「蒼君、その料理が出来ると言うのも色々あると思うの」

「分かった、では皆もう一度確認させてくれ、この中で店レベルでは無く、

家庭の食事レベルの料理ができる人は挙手をして欲しい」

「はい」

手を挙げたのはまたしても自分だけだった、詩ちゃんの方を見ると、サッと顔を逸らされた。

蒼君は申し訳なさそうにうつむいている。

竜司君は自信満々に首を横にふる。

大和君がおずおずと半分くらい手を挙げた。

「大和、その微妙な挙手はどういう意味なんだ」

「料理自体は多少出来るけど、調味料や素材次第かな」

「なるほど了解した」

結局料理は私が担当して、私が作れない時は大和君にお願いする事にした。

「私は洗濯をしますね」

下着等は自分で洗って、シーツとかシャツの洗濯は詩ちゃんがやってくれる事になった、

蒼君とか竜司君に任せると布を引きちぎってしまうイメージがあったので嬉しい。

その他全般の掃除や買い出し力仕事や薪を取って来るのは男性陣が担当する。

結局当番制では無く、担当制になってしまった。


「次は皆のステータスを教えてくれ」


名前:蒼

職業:騎士

スキル:挑発、威嚇、鉄壁

能力:堅牢、魔法耐性

加護:成長の加護


名前:竜司

職業:剣士見習い

スキル:ソードスラッシュ

能力:双剣、剛力


名前:大和

職業:盗賊

スキル:忍び足、探知、急所

能力:風林火山

加護:闇の資質


名前:詩

職業:魔法使い

スキル:氷玉、氷縛、凍結

能力:氷魔法威力上昇

加護:氷冷の加護


名前:琴音

職業:下級錬金術師

スキル:錬金、回復ポーション作成(中)、武器属性付与

能力:格納

加護:錬金術の極意

錬金一覧

MP回復ポーション

状態異常耐性ポーション

麻痺薬


「加護持ってないの俺だけかよ......」

「まあそう言うな、能力は二つとも強力じゃないか」

「まあ、能力は気に入ってるけどよ、つかまだ剣一本しかないわ」

「詩ちゃんは氷系のスペシャリストなんですね」

「はい、加護がそうでしたので一属性に縛りました」

「中々良いと思うよ、波のモンスターは知らないけど、

本で調べたがこの辺りで氷系の耐性があるモンスターは知らないし、

火属性が多いみたいだからね」

「大和は忍者志望か?」

「少し悩んではいるけど暗殺者系統かな」

「こわ」

「蒼君の成長の加護は凄そうですね」

「まだレベルアップしてないから何とも言えないけどね」

「まあ何にせよ、琴音ちゃんが一番特殊だよな」

「職業が錬金術師ですから」

「いやいやお世辞抜きにすげーって」

「私もそう思います」

「うう、ありがとう」


「ある程度皆の能力は理解出来たんで明日は砦に行って狩場を紹介して貰おう、

多分だけど最初はゴブリン相手を紹介されると思う。

まだ俺達のレベルが低いんで出来るだけ一匹相手を狙って、二匹以下しか相手にしない。

不意討ちとかで三匹以上になったら撤退しよう、殿は俺が担当するよ」


ある程度方向性も決まったので、皆で食事する事にしたけど、

時間がもったいないので釜戸でお湯を沸かしながら食べることにした。

勿論樽風呂用、合わせて薪の中に石を入れておいて、

お湯が冷めたら焼き石を樽に入れて落とし蓋をいれる。

樽は柄杓と鍋でお湯を移して私の格納で洗い場まで運んで、

女性陣、男性陣で入る、順番は基本一日毎に交互で変えようと提案したけど、

男性陣達は、女性陣が先に入って後から入ると主張してくれた、

理由を聞いたら前衛職のほうが汚れ易いからと言う事らしい。

お言葉に甘えて初日から先にお風呂に入らせて貰った。

砦だとお湯に浸かれなかったので、凄くさっぱり出来た。

私達がお風呂から出ると男性陣がお風呂に入ったが、

樽に浸かるのは無理だったみたいだったがたっぷりとお湯は使えたので満足はしていた。

その後は各自で自由時間となったので、明日の朝食の下準備だけして私はせっせと錬金に勤しんで、

疲れてきたので干し草シーツベットで寝る事にした。

シーツをかけても多少はチクチクするけど、そのうち慣れそうだ。

明日は初討伐なので緊張して寝れないか少しだけ心配だったけど、

やっぱり疲れていたのか気絶する様に直ぐに眠りにつけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る