第15話

 ここは、街から北に位置するダンジョンである。

街の近くには、三箇所ダンジョンがある。三箇所ともに普通ダンジョンであるが、その中でも一番近い場所にある。街から歩いて一時間くらいの位置にあるが、残りの二箇所は乗合馬車で半日もかかる所にある。 

 街から近いことあり、Cランクに上がったばかりの冒険者が主に人気がある。それもあり、このダンジョンは別名【初級ダンジョン】と言われている。

 因みに、烈火の剣は二箇所の内の中級ダンジョンと呼ばれているダンジョンに行っていた。


 だから、俺は初級ダンジョンに入ったことがない。



「ここが初級ダンジョンかー!ソロだし気を引き締めて頑張るぞ!」



 気合が入りすぎて声が大きかったようで、周りにいる冒険者がクスクスと笑っているなんて知る由もないなかった。そして、ここでも俺を見ている人物がいた。

 ダンジョンに入った俺は物凄く驚くことにそして困ることにもなるのだった。









◆◆◆◆◆◆◆◆


〈烈火の剣Side〉



「皆も知っている通り、この間までいたパーティーのお荷物だったハルトがいなくなった!!今までよりダンジョンの進むスピードも早くなる!俺たちの稼ぎもかなりあがるだろう!気合を入れるぞ!」



 気合の入った演説をしているのは、烈火の剣のリーダーで剣士をしているヤマトである。



「「「おーーーーー!」」」



「ところで、荷物って誰が運ぶのよ?」



 魔術師のリナが聞くと誰も口を開かなかった。



「あの~、私、ダンジョンのマッピングなんてやったことないから誰かやってくださいね?」


 僧侶のルナがいうとメンバーの全員がマッピングなんてやったことがないことがわかった瞬間だった。



「マッピングなんて使えなかったクズハルトでも出来たんだから大丈夫だろう!」



 ヤマトが言うとメンバー全員が「まぁ、そうだよな」となり、荷物に関しては自分の分は自分で持つ事になった。ここでも、ハルトが出来たのだから自分達のほうがもっと上手く出来るだろうと甘く考えていた。それが、烈火の剣を破滅へと進むとは知る由もなかった。



 中級ダンジョンに入ってから暫くして休憩ポイントに着いた。



「ふぅー。やっと休憩ポイントに着いたな!やっぱり荷物を持っての移動は疲れるなぁ。ポーターを雇うか?リナ!マッピングご苦労だったな!やっぱりあいつと違って進むスピードが違うな!」



「はぁー!?私、マッピングなんてやってないわよ!なんで、私なのよ!!」




「「「!!!!」」」



 誰もマッピングをしていなかったのだった。




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