1‐2 能力値★1

※1-1の続きです





俺は街に逃げ込むことに成功し、少しほっとした。


街にはたくさんの人がおり、俺とは違い綺麗な服を着ている。


街並みも道がレンガのような模様でオシャレで歩きやすい。


お店も外観が綺麗で街案内の地図も分かりやすく表示されている。


それに比べ俺は衣服は普通だし、お金はなかった…。


そういえばステータスにキレててちゃんと見てなかったな…。


どれどれ…スキルは…ん?【文字】?なんだこれは?


【文字】だけじゃわからんしなんだよこれ…よく分かんねぇ…。


そうやってじっと見ていると街の人から俺のステータスが見えていたのか


冒険者や街に歩いている一般人に笑われてしまった。


冒険者「耳貸せよ…あいつ能力値オール1だってさ…マジ笑える」


くすくすと俺を馬鹿にしている。


おばさん「ランクも1なのに★1なんて可哀そう…」


憐(あわ)れんだ目で俺を見るな!


街の人からは俺は避けれられてしまった。


ドン太朗「なんだよ俺を馬鹿にしやがって…!」


俺は【文字】能力がよく分からなくて!むしゃくしゃして!


なにか手がかりがありそうな図書館に入った。


図書館はこの街にしては冷えておりお化けがでそうなほど


古びており、クモの巣も何個かみかけた。


だけど俺は怖くなかった。


ドン太朗「いろんな本があって分かんねえな…どれが適切なんだ?」


奥へ、もっと奥へ行くと本棚が動き出し、地下へ続く階段があった。


俺は踏み外さないよう…ゆっくり…ゆっくり降りて行った。





トン…トン…トン…





降りていくとなんと古代文字が並んでいる本棚がたくさんあった。


ドン太朗「あれ?なんでステータス画面が…」


ステータス画面を見ると、【文字】能力が赤く光り続けている。


ドン太朗「本の文字が赤く…光っているだと?」


読める…古代文字が…これは能力のおかげなのか?


ドン太朗「これは…最強魔法が書かれてある魔導書じゃないか…」


気の向くまで本を読み進めたが結局読めるだけだった。


ドン太朗「やっぱり本を読んでも何の役にもならんわ…」


魔力も1だし救いようがないじゃないか俺は…。


俺は覚えるだけ覚え、地下から出て図書館を去ろうとすると


耳元で老人のような声が聞こえる。


ドン太朗「なんだよ…声かけてくるな…」


老人「すまないのお…そういえば地下が開いていたじゃろ?」


老人「すごいなあすらすら音読されてて!」


ドン太朗「やれやれ…これくらい当たり前だよ」


とても俺は嬉しかったがそれと同時に…


ドン太朗「…って俺、音読してたのかよおおおおおおおお!」


俺はすごい恥ずかしくなって図書館から逃げた。






俺はどれだけ走ればいいんだよ…でも悪い気持ちじゃない。


そうだ、俺お金もないし…食事すらしてない…。


下を向きながら途方に暮れていると大きな声で


看板娘「大募集してます!冒険者の方!」


その声のする方へ足を進めると看板娘が


看板娘「冒険者ギルドなんですここ!」


見てみると大きなレンガでできている。


続けざまに看板娘が


看板娘「募集してるんです!冒険者の方!」


看板娘「一度試験でもやってみませんか?」


あまりに必死な表情をしている。


ドン太朗「俺は…その…弱いから…★1だし…」


ドン太朗「ランクも1のまんまだし…」


看板娘が怒りながら話す。


看板娘「どうしてですか!受けたいんですか?受けたくないのですか?」


俺もイライラしながら話す!


ドン太朗「受けたいよ!受けたいけど…」


看板娘「まずは試験ですね!!」


耳を引っ張られながらぐいぐいとギルドの方に俺は入らされた…。




続く







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る